GoGo!人種のサラダボウル東トルコの旅
さて、東トルコは西トルコに比べ、「多くの国と国境を接している」というのが特徴の一つに挙げられます。西トルコはギリシャのみですが、東は南からシリア、イラク、イラン、アルメニア、グルジアと5カ国と国境を共にしています。例えばハチミツと銅像で有名なカルスの町から45キロ東にあるアニ遺跡では、谷の向こう側がもうアルメニアです。何の看板もなく、ただ小さなフェンスがあるだけ。島国の日本に生まれた私からすると、なんだか驚いてしまいます。昔から人々が行き来をし、混血が行われているため人々の顔は様々です。行く先々で人々の顔を見ているだけでも結構面白いです。肌の色が黒かったり、白かったり、眉毛が濃かったり、毛の色が薄かったり、背が低かったり、高かったり……。北の方ではアゼルバイジャン人、ロシア人とトルコ近辺の国々の人に出会うことも多かったです。(余談ですがトラブゾンという黒海沿岸の都市では最近ロシア人との国際結婚が増えており、ロシア人と結婚したい町の女性たちがとてもお洒落になったそうです。)そして忘れてはならないのは国を持たない民族、クルド人。彼らはトルコ、イラン、イラクなどの国をまたいで生活し、独特の言葉、文化を持ちます。今回の旅はクルド人がたくさん住む地域に何度か寄りました。彼らが話すクルド語はペルシアの方の言葉に近いらしく、日本語と同じアルタイ語を基とするトルコ語とはかなり異なります。例えば「ありがとう」はトルコ語で「テシェッキュルエデリム」や「サーオルン」と言いますがクルド語では「サパスティカン」と言い、一文字も似ていないです。またクルド語は場所によって方言をもち、同じクルド語でも場所によって違います。考え方も人によって様々で、会話の中で突然「お前はトルコ人の心とクルド人の心とどっちを選ぶんだ?」と言ってくる人もいれば、「人種ではなく、大切なのはその人間が良い人間かそうでない人間かだ。」という人もいました。しかしどの人も西トルコと同じように私たち日本人にはとても親切で少し目が合えばにこっと満面の笑みをくれ、いろいろと訊ねてきます。
また東トルコは子どもが多いのが特徴です。ディヤルバクルというチグリス川沿いの町では町の人口の半分が子どもなのです。子どもが多い=「働き手が多い」という考えで、多い家庭では6人、8人と子どもがいるそうです。どの子ども達も笑顔が素敵です。面白い子供たちに会いました。8歳くらいの男の子でしょうか。体重計を持って歩き、「1リラ1リラ(トルコの現地通貨。現在1リラ=60円くらい)」と言ってきます。何かと思えば、体重を量ってあげるのを商売にしているそうなのです。公表できるような立派な体重を持ち合わせていない私は遠慮しましたが……。
多くの国と国境を接しているというのは興味深いことも多いですがやはり問題も多く、国同士の関係があまりよくなくなると個人レベルにも広がり、住人にとってはデリケートな場所です。旅の間に、トルコでは憲法改正による国民投票が行われました。結果は改正賛成派に軍配が上がり、改正案の中には軍と司法府の権限弱体化を狙った項目もあるそうです。
東トルコで出会った小さな「体重量り屋さん」たちが将来幸せになることを願い、帰国の途に着きました。
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コメント
帰国したら一気に秋風が吹いています。昨夜からは薄ものの羽毛布団でも今朝は寒くさえ感じています。
旅行中は何かとお世話になりありがとうございました。感謝いたしています。
本日、写真と最後の旅日記そして保険の封筒を受け取りました。ありがとうございました。
処理も速いのですね。
そして手紙にもありました「添乗員さんの見聞録」を早速見たところ9/22付けで掲載されるなど手早い対応には妻と二人で感心しています。
旅を思い出しながら読ませていただきました。天気に恵まれ、なんと言っても名倉さんの笑顔が何よりのものでした。
これからも多くの人に旅の楽しさを伝えてください。
ありがとうございました。
投稿: 住吉敬司・サナヱ | 2010年9月24日 (金) 12時45分
住吉敬司様、サナヱ様
メールにひき続きコメントまで下さりありがとうございます。本当にすっかり秋めいてきましたね。
「楽しい旅だった」という言葉が何より嬉しいです。
またどうぞ宜しくお願い致します。風邪などひかぬようお気を付け下さい。
投稿: 名倉 | 2010年9月24日 (金) 21時59分