サマルカンドの夜の寄り道(ウズベキスタン)
旅も佳境に入り、私達はウズベキスタンの古都サマルカンドに滞在していました。「青の町」とも形容される通り、「サマルカンド・ブルー」の美しいタイルが覆い尽くす旧市街のモスクやメドレセは、かつての繁栄ぶりを想像させてくれます。ペルシア(イラン)から連れてきた職人達の技術により建造された巨大かつ壮麗な建築群。現在のスペインから中国西部にまで及ぶ広大なイスラム世界からは、当時最高の知識人がこのサマルカンドに集ったと言います。
日中の観光を全て終え、その日の夕食はある地元の民家で頂くことになりました。夕暮れ時、白壁の高い塀に囲まれた民家が連なる地区を少し歩き、門をくぐると素敵なテーブルが中庭に用意されていました。日中の暑さも和らいだ今夜は、心地よい風が肌をなでる葡萄棚の下で頂く夕食。所狭しと並べられた前菜に、次から次へとお料理が運ばれてきます。長旅で疲れたお腹には、ウズベキスタンのお母さんが作ってくれたミルク粥が嬉しく、お客様にも大好評でした。
大きくなったお腹を抱え、席を立ちバスへ向かおうとすると、ガイドのハムザさんがあわてて駆け寄って来て、「ここの末っ子さんが歌を歌ってくれるそうですよ」と言います。それならば、「せっかくなので歌って頂きましょう」と、お客様。小学校低学年くらいの年齢でしょうか。ちょっとばかしお洒落をし、伝統的な帽子をかぶった彼は、とても緊張した面持ちで、けれどもとても愛らしい声で私達のために歌ってくれました。拍手喝采!
ホテルへ戻る途中、ガイドのハムザさんが、お客様のために素敵な寄り道をしてくれました。昼間に一度訪れたグル・エミル廟。一代で大帝国を築き上げた英雄ティムールが眠る巨大なお墓です。バスから降り見上げると、夜空にライトアップされた巨大な緑色のドームが浮かび上がりました。思い思いの角度から、廟とドームを眺め、シャッターを切り、そしてまた眺めます。ガイドの説明も、添乗員の案内も無い、ほんの数分間の、サマルカンドの夜の寄り道。
いつもと少し違う食事。いつもと少し違う夜。そんな一瞬が、いつまでも旅の思い出として、私の心の中に残っているのです。 (田村)
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