ヴェローナ音楽祭で野外オペラを鑑賞
「ザルツブルグ音楽祭とヴェローナ野外オペラ」のツアーより帰国しました。このツアーのメインイベントは、イタリアのヴェローナとオーストリアのザルツブルグでの音楽祭です。
イタリア・ミラノから始まった私たちのツアーは、旧市街が丘の上にあるベルガモの町を経て、ヴェローナへ。ヴェローナは交通の要衝にあってローマ時代より栄え、世界遺産にも登録されている街。シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」の舞台としても有名です。旧市街には1世紀に造られた円形闘技場・アレーナがあります。地震で一部消失してしまっているものの保存状態は良く、ローマ時代に造られた円形闘技場の中では3番目に大きく、2番目に古いと現地のガイドさんが話してくれました。アレーナのあるブラ広場に入ると、すぐにどどーんと広場を占領しているアレーナが目に飛び込んできて圧巻。そんな壮大なアレーナで毎年夏に行われる音楽祭の野外オペラを鑑賞してきたのです。
ヴェローナの野外オペラ音楽祭は1913年、ジュゼッペ・ヴェルディの生誕100年を記念して始まり、その後戦争中は一時中断したことはあるものの、公演は毎年行われています。日が暮れるのが日本よりずっと遅い夏のヨーロッパ。オペラが始まるのは夜の帳が下り始める21時。アレーナは外から見ただけでも大きさに圧倒されますが、中に入ってみてもここがオペラの会場になってしまうなんてと感じるくらい広いのです。アレーナ建設当時のヴェローナの人口は1000人程度だったそうですが、アレーナの収容人員は25000人。屋根のない解放感たっぷりの会場に大きなステージが設けられ、ステージの上にはピラミッドが置かれています。私たちが今回観たオペラは「アイーダ」。エジプトを舞台にした純愛物語です。場面によって、ステージ上のピラミッドが回転し、ツタンカーメンのマスクやエジプトの壁画などが現れるようになっていて、舞台装置の壮大さには驚かされました。このアレーナは音響効果も優れているそうで、広い会場に響き渡る歌手の歌声やオーケストラの音に心地良さを覚えました。
そして何よりも、ローマ遺跡であるアレーナならではの雰囲気は、格別なものがあります。他の屋内のオペラの会場などでは味わえない独特なものです。ローマ時代、闘技場は剣闘士や猛獣が闘った場所ですが、当時はどんな風に賑わっていたんだろう、私たちがオペラで盛り上がっている時と同じ感じだったんだろうかなどと想像してしまいました。オペラが終わった後は、今まさに引き込まれたオペラの世界と古代ローマ時代を想像して楽しんだアレーナの雰囲気の余韻に浸ったのでした。 (武石)
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