ピレネー山脈を越えて(フランス→スペイン)
先日、「ル・ピュイから聖地サンティアゴへ」のツアーから帰国しました。
このコースはル・ピュイを起点にフランス各地の巡礼路上の名所を巡りながら、ピレネー山脈を越え、スペインに入り聖地サンティアゴに向かうコースです。
ほぼ毎日が観光のハイライトと言えるような巡礼路上の名所が続きますが、今日はその中でもフランスからスペインに抜ける国境のピレネー山脈越えをご紹介します。
ピレネーのソンポール峠は中世の頃から聖地サンティアゴへ向かう巡礼路上でも、最も険しく、美しい道程でした。
峠越えの手前にはバスク地方の緑豊かな牧草地が続き、これからの険しい峠越えのイメージとはまるで別世界。
のどかな里山の景色と、遠くに見え始めた3千メートル級の荒々しい山並みのコントラストが印象的です。
切り立った崖が両側に迫る渓谷沿いの坂道をくねくねと登り始めると、道路と並行して廃線が見えてきます。
かつてはピレネー山脈越えの鉄道が走り、第二次世界大戦中はパリとマドリードを結ぶ幹線として賑わった時代もありました。
狭い渓谷沿いに鉄道の線路を敷設する作業は恐らく困難だったにちがいありません。
また、途中の絶壁をふと見上げると中世時代の石組みの城壁が岩壁にへばり付くように残っています。
資料も記録も見つけることができませんが、この渓谷沿いに進み、山脈の鞍部を越えるルートは昔からピレネー越えに活用されてきたことを連想させます。
かつての関所の名残りでしょうか。
そしていよいよ急勾配の登坂路に差しかかりました。
バスでは10分足らずの短い距離ですが重い荷物を背負って連日歩いてきた巡礼者たちにとってはきっと、辛い区間なのでしょう。
時折見かける巡礼者は少し疲れた様子でうつむき加減にゆっくりと、一歩一歩着実に進んでいます。
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