2010年10月29日 (金)

ピレネー山脈を越えて(フランス→スペイン)

10月のソンポール峠

先日、「ル・ピュイから聖地サンティアゴへ」のツアーから帰国しました。
このコースはル・ピュイを起点にフランス各地の巡礼路上の名所を巡りながら、ピレネー山脈を越え、スペインに入り聖地サンティアゴに向かうコースです。
ほぼ毎日が観光のハイライトと言えるような巡礼路上の名所が続きますが、今日はその中でもフランスからスペインに抜ける国境のピレネー山脈越えをご紹介します。

ピレネーのソンポール峠は中世の頃から聖地サンティアゴへ向かう巡礼路上でも、最も険しく、美しい道程でした。
峠越えの手前にはバスク地方の緑豊かな牧草地が続き、これからの険しい峠越えのイメージとはまるで別世界。
のどかな里山の景色と、遠くに見え始めた3千メートル級の荒々しい山並みのコントラストが印象的です。
切り立った崖が両側に迫る渓谷沿いの坂道をくねくねと登り始めると、道路と並行して廃線が見えてきます。
かつてはピレネー山脈越えの鉄道が走り、第二次世界大戦中はパリとマドリードを結ぶ幹線として賑わった時代もありました。
狭い渓谷沿いに鉄道の線路を敷設する作業は恐らく困難だったにちがいありません。
また、途中の絶壁をふと見上げると中世時代の石組みの城壁が岩壁にへばり付くように残っています。

資料も記録も見つけることができませんが、この渓谷沿いに進み、山脈の鞍部を越えるルートは昔からピレネー越えに活用されてきたことを連想させます。
かつての関所の名残りでしょうか。

そしていよいよ急勾配の登坂路に差しかかりました。
バスでは10分足らずの短い距離ですが重い荷物を背負って連日歩いてきた巡礼者たちにとってはきっと、辛い区間なのでしょう。
時折見かける巡礼者は少し疲れた様子でうつむき加減にゆっくりと、一歩一歩着実に進んでいます。

10月のソンポール峠

「ソンポール峠1640M」の看板前でバスを降ります。
大きく息を吸い込んでみると、途端に冷気が体に凍みこんできて、しばらくすると手先が悴んできます。
冷え切った空気を沢山吸い込むと、晴れ晴れとした気分になります。
見上げると、秋特有の高く澄んだ青空が広がっています。
近代的な雑音が一切無く、ピーンと張り詰めたような静けさ。
そして時折吹きぬける風の音だけの世界。
周辺には赤や黄色に染まった木々が静かに佇んでいます。
ソンポール峠はこの何も無い、静けさがいいのかも知れません。

いつ訪れても半ば廃墟のようになったカフェやレストランはいつも閉まったまま。
国境の派手な標識もないし、パスポートを検査する係員すらいない状態です。

フランスからスペインへ抜ける難所であったピレネー山脈。
今も昔もソンポール峠を登り切った巡礼者はここでホッと一息ついたことと思います。
私達バスでやってきた旅人も峠を越え、スペインに入ると、「ついにここまでやってきたんだ!」という達成感に包まれました。
しかし聖地サンティアゴまで、まだまだ836㎞。
私達も巡礼者と同じように、気分を一新して、聖地めざして新たな一歩を踏み出したのでした。(上田)

>サンティアゴ・デ・コンポステラへの旅はこちら

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