カオス・イン・メディナ(モロッコ&チュニジア)
この度「モロッコ・チュニジア周遊 13日間」のツアーから帰国いたしました。13日間でモロッコとチュニジアの見どころをぐるりと周る王道かつ一度に2ヶ国巡れる一石二鳥のコースとなっています。只今、ベストシーズンを向かえ半袖でも長袖でも日差しや風が心地よく観光日和の日々が続いていました。
そんなモロッコとチュニジア、今回は私のお気に入りの場所をご紹介したいと思います。
それは…「メディナ」と呼ばれる旧市街地区です。モロッコやチュニジアのメディナは世界にいくつもあるメディナの中でも歴史が古く、また大きなものが多いです。メディナの中心には必ずモスク(キリスト教でいう教会、仏教でいうお寺)がありミナレット(塔)から礼拝の時刻を知らせるアザーンが鳴り響きます。夜明け前のまだ我々が寝ている時間から日が沈むまで毎日5回鳴り、宗教が生活の基盤となっていることが分かります。
そして、すぐ側にはスーク(市場)が広がり細い通りに間口の小さい商店が所狭しと並んでいます。店先にはその店の看板商品がデカデカと展示されているせいで、ただでさえ細い路地がさらに狭くなっています。行き交うにも譲り合うか強引に行くかはその人次第。概して「遠慮」や「慎ましさ」を美徳とする日本の方は戸惑ってしまいがちです。
また同じ業種の商店が近くに並び、棲み分けができているのも特徴のようです。八百屋通り、土産屋エリアなどショッピングには歩き疲れる心配はありません。他店比較検討するのも便利です。
カフェ通りでは小さなカフェの店先に小さな椅子とテーブルがこれでもかと並び、何をするわけでもない男性陣がおしゃべりをしたり、1人黙々新聞を読んでいたり、自分の時間を過ごしています。日中の忙しい時間でさえも結構混んでいたりしますので、仕事はしていないのだろうか?と疑問に思ってしまいます。
有名なメディナの一つにフェズのメディナがあります。世界一複雑な巨大迷路の町として有名ですがモロッコで一番古いメディナでもあります。一歩メディナへ足を踏み入れ散策しているともうどこを歩いているのかさっぱりです。その昔敵軍が攻め入ってきたときに狭い路地を使って相手を迎撃したり、逃げ場を失くし袋小路に追いやって攻撃したりするために狭い路地で脱出不可能な迷路状の都市を造り上げたと言われています。そんな大迷路でも地元の人々はもちろん、ガイドさんもスイスイと進んでいきます。路地の片隅に扉が付いていますがそこを一歩入るとそれまでの雑踏が嘘のような静けさがあります。中庭があり、噴水が中央に据えられナツメヤシなどの樹木が植えられ涼しげな住民の居住スペースがあるのです。動と静が織り成す都市フェズ。
もう一つマラケシュのメディナも有名です。大道芸人や安いけどおいしい屋台がひしめき合ったジャマ・エル・フナ広場を中心に旧市街が広がります。日中は大道芸人見たさに沢山の人々が集まります。夕方になると夕飯を食べに地元の人々が集まります。常に賑やかな広場です。昔は罪人を公開処刑していた広場なので「死人の集会所」という意味のジャマ・エル・フナ広場の名がついたのですが…。
常に沢山の人がやってきて、狭い路地にお店がひしめき合い、店先には羊の頭がぶら下がっている場所。ロバが偉そうに路地の中央を歩き、店主が馴れ馴れしく話しかけてくる場所。アザーンの音や人々の怒号にも聞こえる叫び声や笑い声が絶えない場所です。日本人からしてみるとかなり異色な文化…混沌とした場所です。でもなぜかこの雑踏好きになってしまうのです。何でもあり、何でもOKなこの地に戻りたい衝動に駆られるのです。(篠原 由宇馬)
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