2010年10月 4日 (月)

大地の終わり、生まれ変わる風景 地球最後の秘境『バングル・バングル』

今から約30年まで、アボリジニと一部の地元民しか知らなかった秘境、バングル・バングルに行ってきました。1982年、撮影クルーにより“偶然”発見されたバングル・バングル。アボリジニの言葉では“砂岩”を意味する『プヌルル』と呼ばれています。バングル・バングルは西オーストラリア州の北、ノーザンテリトリー北部準州との境界近くに位置します。キンバリー地域と呼ばれるこのあたりは、オーストラリア大陸の中で最も早くから人類が住み始めた場所でありながらも、乾季は40度を超える容赦ない陽射しに川の水が干上がり、雨季は激しい豪雨に河川が氾濫しサイクロンが直撃することもあるという厳しい気候風土のため、人が立ち入らない秘境が多く存在します。

Lake_argyle

バングル・バングルへは300㎞北にあるカナナラの街からセスナで向かいました。離陸してしばらくすると眼下の荒野に1972年に完成したダム湖『アーガイル』湖が見えます。琵琶湖の3倍というこの湖の南側にあるのが世界屈指のダイヤモンドの鉱床。そしてアーガイルダイヤといえば“ピンクダイヤモンド”。大変希少なピンクダイヤモンドの世界総産出量のうち9割以上がここアーガイルで採掘されるそうです。といっても、アーガイルで採れるダイヤモンドのうちピンクダイヤモンドが占める割合はたったの0.1%未満、シャンパングラス3分の1くらいです。アボリジニの伝承ではバラマンディという魚の鱗など体の一部がダイヤモンドになったということですが、ピンクダイヤモンドはバラマンディの心臓だったといわれています。

Bungle_bungle_1_2

アーガイル湖からさらに南に向かうとオズマンド山脈(正確にはかつての山脈)が見え始めます。オーストラリア大陸は世界の陸地の中でも最も古いといわれており、ゴンドワナ大陸時代に存在した山脈は気の遠くなるような長い年月を風に晒され、水に侵食されて、砂となって崩れていきました。現在残るのはかつての山脈の土台であった岩盤部分のみ。オズマンド山脈は今から6億年前、オーストラリアがゴンドワナ大陸の一部だった頃5千~8千メートルの高さがある、現在のヒマラヤ級の山脈でした。それが3億6千万年前に崩れ落ち、水に流された土砂は辺りに広がって平らな大地になりました。それが今から24万年前の地殻変動により隆起し、さらに風雨の浸食によって柔らかい部分が削り取られて出来上がったのが、現在のバングル・バングルです。

Bungle_bungle_2

オズマンド山脈を越えてしばらくすると地面に不思議な模様が見え始めます。なにやらぐるぐるとした縞模様が大地を被い、じっと見ていると目が回りそうなほど。バングル・バングルです。オレンジと黒が縞模様になった光景。今年の夏、大発生で問題になったスズメバチの巣にも似た模様が、辺り一面を埋め尽くします。高度を下げた状態でみると、渦巻きの一つ一つが岩山であることがわかります。びっしりと広がる渦巻き模様。見たことがない奇妙な景色。セスナが降り立った地から見る風景は実に不思議なものでした。オレンジと黒の縞模様をした、丸っこい三角形(おにぎりのような形)が連なり、雨季に現われる川の水によって削られた川床が三角形の合間を縫うように伸びています。縞模様の黒は水分を多く含みバクテリアが繁殖した層、オレンジの部分は鉄分を多く含む層。2つの層がきれいに順番に重なり、蜂のお尻のような模様を作り上げている様は、自然が創造した偶然の風景というより人間が頭に描くファンタジーの世界のよう。

ヒマラヤ山脈が誕生したのが今から5千万年前。

Beehive

バングル・バングルのもととなったオズマンド山脈が崩れたのが今から3億年以上前。今、目の前にある風景は、気の遠くなるような年月が産んだ、奇跡の風景なのだということを実感する数字です。天を突くような高い山だったものが、遥かな歳月の後に奇妙なぐるぐる渦巻きの風景になる・・・。ヒマラヤもアンデスも3億年後には想像もつかない別のものになっているのかも。ではそのとき、バングル・バングルはどうなっているのだろうか。途方もない地球の歴史に思いを馳せ、オーストラリア大陸の奥深さに魅了される旅でした。(宮澤)

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