2010年11月 4日 (木)

激動の歴史の舞台、クリミア半島

ウクライナ周遊8日間から戻りました。このウクライナ周遊8日間、後半はクリミア半島の旅となります。クリミア半島は風光明媚な自然の美しい場所でもありますが、近代そして現代への歴史の舞台となったところでもあります。

Bafchisalay

クリミア半島の観光の中心地はヤルタ。ソ連時代は保養地として有名で、今もリゾート地として賑わっています。現在は海岸沿いのプロムナードも美しく、見慣れたブランドのウィンドウが軒を連ね、レーニン像に共産圏だった面影が見られるのみです。
ヤルタの観光1日目はヤルタから離れバフチサライ、セヴァストーポリを巡ります。ヤルタを出発し変化に富んだ海岸線を暫し走るとバスは山間へと入ります。秋のクリミア半島、真紅に紅葉というわけにはいきませんが、黄色、紅色、秋の景色が美しく、つい途中の湖畔で小休止をとると、村人が薬草やら茸やらを並べて売っています。バフチサライはプーシキン作の詩、バレエ作品として有名な「バフチサライの泉」で有名ですが、ここはかつてクリミア・ハン国(クリミア汗国)の首都でした。少し世界史をかじった方なら「汗国」という単語にピンと来る筈。クリミア汗国は1441年にチンギス・ハン(ジンギス汗)の末裔によって建国されました。建国初期の段階の1475年にオスマン帝国の属国となり、オスマン帝国の保護のもと国力を伸ばしました。1532年にこのバフチサライの地に都が移ります。しかしロシアの勢力拡大に飲み込まれ、バフチサライの宮殿ハンサライ(ハンの宮殿)宮殿も、1736年にロシア軍によって破壊されました。クリミア・ハン国は1783年4月8日ロシアのエカテリーナ2世によって併合され、ロシアという近代の南下を前に、ジンギス汗、オスマン帝国、ユーラシア大陸を制覇した数々の帝国の末裔はひっそりと幕を下ろしました。

Sevastopoli

バフチサライを後に、軍港、セヴァストーポリへ向かいます。黒海艦隊の拠点セヴァストーポリは太平洋艦隊のウラジオストク、バルト艦隊のリエパーヤやカリーニングラードと同様、ソ連時代は外国人の立ち入りが禁止された閉鎖都市でした。ウクライナ領となった現在もロシア海軍の艦艇が停泊しています。
ナイチンゲールで有名なクリミア戦争は1853年から1856年の間クリミア半島を中心に英仏土サルデーニャ連合軍とロシアが戦った戦争です。トルストイの「セヴァストーポリ物語」でも有名なセヴァストーポリは、クリミア戦争の戦局を決めた激戦地でした。この戦いでトルストイは将校として従軍していました。セヴァストーポリはロシアの執拗な抵抗にもかかわらず、1855年9月11日に陥落。ロシアは一挙に不利になり、1856年3月30日にパリ条約が成立し終戦となりました。以降、世界は近代への道を歩むことになります。
ヤルタの観光第2日目はヤルタの市内の観光です。この日にリヴァディア宮殿を訪れま

Livadia_table_image

す。
リヴァディア宮殿は1911年にロシア皇帝ニコライ2世よって建てられた白亜の美しい宮殿です。ロシア皇帝ニコライ2世の別荘として建てられ、この建物は現在は博物館となっています。
この宮殿が一躍有名になったのは、1945年2月4日から11日にかけて、アメリカ、イギリス、ソビエト連邦の3国首脳会談、いわゆるヤルタ会談が開催されたことに由来します。ルーズベルト、チャーチル、スターリンがこの会談に出席しました。

Crimian_conf

前年の1944年イタリア降伏、ノルマンディー上陸作戦でフランス奪回と戦局は大きく連合軍に有利に展開していました。そして1945年、ソ連は1月にポーランドを占領、アメリカはルソン島に上陸し2月3日に首都マニラを奪回とすでに日独の敗戦が濃厚となった時期の会談です。ドイツの戦後処理や東西冷戦の端緒のいわゆるヤルタ体制が規定されました。そしてこの会談でソ連の日本参戦が決定しました。ソ連の日本参戦は円卓で決まったのではなく隣の部屋でルーズベルトとスターリンの密談によって決まりました。
リヴァディア宮殿2階はニコライ2世の展示物でした。まさに激動の時代を過ごしたニコライ2世ですが、ここでは、家族7人のほのぼのとした生活を伺うことが出来ます。例えば豪華絢爛な食卓ではなく、普通の家庭と同じ和気藹々とした食卓がそこにありました。又、写真も多く展示され、写真撮影が趣味の家庭人たるニコライ2世を垣間見ることが出来ます。
ヤルタを発つ日、空港のあるシンフェローポリの町へ、バスはゆっくりと秋の山並みの道を進みます。数々の歴史の舞台は、静かに秋を迎えていました。

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