秋のシルクロード・西域南道の旅(中国)
「流砂の道 西域南道とタクラマカン砂漠縦断」より帰国致しました。訪れたのは、ちょうど秋真っ盛り!各地で綿花の収穫が行われ、食事の際には毎日のようにハミウリやスイカを頬張っていました。また、砂漠に生息する胡楊の木も金色に輝いて、まるで道標のように私たちを次のオアシスへと導いてくれました。
今回、旅をしたルートは、「西域南道」と呼ばれ、中国シルクロードのなかでも最古のルートとされるところです。今回の旅では、ぜん善国(かつての楼蘭王国)の都市遺跡であった米蘭(ミーラン)を始めとして、チェルチェンの且末故城、高昌国と呼ばれたホータンのマリクワト故城など、かつて西域南道沿いに栄えた王国の都市遺跡を訪れました。そのほとんどは風化してしまい、今や土の塊が残るのみとなっていましたが、ルートに沿って訪問して行くと、各国の興亡が徐々に浮かび上がり、西域南道そのものがひとつの大きな遺跡のようにも感じました。
また、今回の旅で驚かされたのは、車窓から見る果てしのない荒漠とした風景。舗装された道をバスで走る現代の私たちですら驚くのですから、かつてここを旅した張騫や班超、玄奘三蔵らはどれほどの苦難の旅路を歩いたのかと、想像を絶するばかりです。胡楊は「生きて千年、死んで千年、倒れて千年」と言われますが、「もしかしたら、三蔵法師はこの木と出会ったのかな」などと話しながら進む旅は、シルクロードの悠久の歴史に浸るロマンがありました。
今回、私個人として、3年ぶりの新疆ウイグル自治区の訪問となりました。昨今の日中関係を含め、日本にいるといいニュースは聞こえてきません。しかしながら、実際現地に赴いてみると、ポプラ並木の中を走るロバ車や、バザールで「絶対美味しいから!」とウイグル族のおじさんが無理やり持たせてくれた甘ーいぶどう、そしてそこで暮らす人々の穏やかさに出会うことが出来、3年前とまるで変わらない(もしかすると3千年!?) 新疆のあたたかいひとと風景に胸が熱くなりました。(弥永)
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