『雪景色の町はまるでブリューゲルの世界』
12月5日発「ドレスデンとベルリンの休日8日間」の添乗より戻りました。旧東ドイツのメインともいえる二都市の滞在とその移動区間にある観光名所を巡る短い日数でドイツの素晴らしいところを見ることができるコースです。
今回は、出発前までニュースでは欧州に到来した大寒波でマイナス10℃との気温を聞いていたので、しっかりとした暖かい服を用意して行きました。
現地滞在中は、運よく大寒波が和らいでいたときで、平均0℃の日々を送り非常に過ごしやすかったです。欧州は乾燥していて、毎日の温度に変化が大きくなかったので、雪が溶けずべたつかず前日降り積もった雪が翌日もサラサラした状態で、歩くのにも思っていたより楽だったこともひとつの発見でした。今回のツアー中で最も心に残ったことはまさに“雪景色”でした。中世の町並みを残すドレスデンでは、黒ずんだ古い石灰岩の建物とそれに積もる粉雪の白さとのコントラストが絶妙な味わいをだし、美しい絵画の世界が目の前に広がっているようでした。また雪があることで、空を見ればどんより曇り空なのに、不思議と明るい感じがしました。それは恐らく、曇り空とはいえ、若干の太陽光が地面の雪に反射して明るくしていたのではないでしょうか。
普段でも中世の美しい町並みに魅了させられる古都が雪化粧を施したことで、こんなにも雰囲気と印象がかわり、メルヘンチックな光景を増幅させるものなのかと驚かされました。
そして、そのような美しい町並みを更に輝かせたクリスマスマーケット。普段ではがらんとしたマルクト広場にびっしりとクリスマスの小屋が建ち並び、グリューワイン(ホットワイン)や焼ソーセージなどのお店からはおいしそうな湯気が立ち上り、人を引き寄せる美味しい匂いを漂わせ、私達のおなかを刺激しました。ザクセンの名産の刺繍飾りや窓辺に置く手作りの温かみを感じさせられる細かい透かし彫りが素晴らしい木で作られたクリスマス飾り、キラキラ輝くクリスマスオーナメントの屋台では見ているだけでも楽しく、その飾りを自宅でどう飾ろうかしら?と家族で、親子で恋人同士で選ぶ光景も微笑ましい。そして世界共通なのか、子供達は雪に大はしゃぎで雪山に飛び込んだり、カマクラのように穴を掘り始めたり、滑ったり・・・。また、毎年雪が降るドイツでは、親が子供を連れて出かける移動手段としてソリを使っていました。学校帰りなど親が迎えにきて、持ってきたソリに子供達を乗せてひいて帰っていました。ソリはドイツでは子供達の為の冬の移動手段としては普通に用いられるものなんだなぁと日常の一場面を見ることが出来てうれしいものがありました。
クリスマスマーケット自体の光景を見るのも楽しいものですが、冬の季節をどうやって過ごしているのかと地元の人たちを見るのもとても興味深いものです。大雪が降っても地元の人たちは傘をささないので、折り畳み傘をさす観光客の私達もなんとなしにたたんでコートのフードをかぶって雪の中を歩いてみたりとそんな何気ない発見や現地に溶け込むようなことも楽しいものでした。ブリューゲルは一枚のカンバスにお祭りや冬の人々の様子を細かに賑やかに描きました。冬のドイツの旅は、そんなブリューゲルの絵を見ているように、実際に自分がそのなかにいるようにも思えるものでした。(髙橋景子)
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