2010年12月29日 (水)

はるか、パイネの山々へ

 アルゼンチンとチリの最南端に広がる魅惑の地、パタゴニアをご存じですか。成田空港

Mate_te

から、待ち時間も含めると総計37時間もの大移動を要するこの「世界の果て」の地は、「それ、どこの国?」なんて聞かれてしまうこともしばしば。ブエノスアイレスより南極の方が近いという、この自然の大地で経験する迫力の氷河や峻嶮の山々は、単なる観光というレベルを超えて、自分の中にその自然が刻まれるような、感動の体験です。そんなパタゴニア紀行の中から、旅のハイライトでもある、パイネの山々での体験をご紹介しましょう。

Paine_hiking

 アルゼンチンのカラファテの街を出た私たちは、ひたすらに国道40号線を南下、チリのパイネへと向かいます。「パン・アメリカン・ハイウェイ」とも呼ばれるこの道は、なんと、北はアラスカまでつながる一本道で、この広大なるアメリカ大陸を縦断する道として知られます。
 車内では、ガイドのセバスチャンさんから、アルゼンチン名物の「マテ茶」講座。満を持して彼が「マテ茶専門リュック」から取り出したものは、お茶の葉と水筒は言わずもがな、目を見張るほどに多様な材質のマテ・カップ。元祖・かぼちゃ素材から、革のコーティングがされたもの、竹の筒から牛の角に至るまで、色も形も正に様々。アルゼンチンの国民的飲料であるマテ茶は、通称「飲むサラダ」と呼ばれ、ビタミン、ミネラル、繊維質がたっぷり入ったその豊富な栄養分が魅力です。日本人の10倍以上も肉食のアルゼンチン人の多くは、旅行中だろうがドライブ中だろうが、ひっきりなしにマテ茶を飲み続けます。かくしてドライバーのホアンさんも、ごくりごくり。
 ちなみに、マテ茶人は、お湯や茶葉の量、味の濃さなどを配慮しながら順番に客人にサーブするのですが、一方で、この茶の出され方には、ある「隠されたメッセージ」があるというのも通には知られた話。いわく、苦いものは、相手への苦々しい気持ち、甘ければ「友達でいよう」、さらに甘いマテは「両親に会って」という意味。一方で、冷たいマテは「あなたなんてどうでもいいわ!」であり、コーヒー割りは「許してあげる」、あるいは、熱々のマテは「私の愛もこれくらい熱いの!」というラテン的情熱の表明なのです。車内では、皆様この苦くありつつも、どこかクセになりそうな不思議な飲料を思い思いに味わってらっしゃいました。おみやげにも、旅のこぼれ話にも最適なマテ茶、手に入れてみてはいかがでしょうか。

Kareki_patagonia

 そうして移動の末に一行が到着したのは、トーレス・デル・パイネ国立公園。大阪府がすっぽり入ってしまうほどの大きさで、1200万年前にマゼラン盆地の割れ目をマグマが突き抜ける形で出来ました。世界の他のどの場所でも見られない山峰の特殊な形状は、氷河期の氷雪とパタゴニアの風雪による侵食で作られていったものです。ちなみ、パイネとは先住民テウェルチ族の言葉で「青い」という意味。
 私たちが進むハイキング・コースは、格別キツいものではありません。最初は、ペオエ湖とノルデンフェールド湖の間の小道をゆっくりと進んでいきます。もう、手を伸ばせば届く距離にパイネの山々。美しい湖に、広がる緑、そして霊的な荘厳さすら備え持つパイネ峰を眼前に抱き、ここはまるで

Paine_lake

楽園のよう、と洩らしたお客様もいました。ですが、そこにもうひとつの要素が加わります。そう、それはパタゴニアの代名詞である「強風」。湖の近くでは水しぶきとなって、平地では突風となって、我々に襲いかかります。その強さは時に風速30キロを超えるほど。しかも、何という自然の悪戯か、私たちの足元に美しく広がる緑の絨毯のような植物は、全面がトゲに覆われていて、これではとても身を預けることはできません。時に重心を低く構え、何とかうっちゃりながらやって来た猛風のハイライトは、目的地の展望スポット。壮麗たる山峰をすぐそこに見ながらも、皆様、自分の身体が吹き飛ばされないよう地面や岩場に張り付きながら、かろうじて写真を撮影。畏るべし、荒れ狂うパイネ。本当に我が身が持っていかれてしまうかのようなあの自然は、景色を「観光」したというより、文字通りその情景がカラダに「刻まれた」ようです。それでも、実際には誰も怪我するようなこともなく、後には風もぴたっと止み、このパタゴニアの偉大なる天気は、気まぐれに私たちを驚かせ続けるのでした。(中山)

パタゴニアのツアーはこちら

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コメント

何時もこの添乗見聞録楽しみに読んでいます。時々添乗者の「お名前」が記載されていません。是非とも記名のレポートを2011年からはお願いしますね。

投稿: 壱読者 | 2010年12月31日 (金) 19時46分

壱読者様

いつもこのブログをお読み下さり、誠にありがとうございます。ご指摘の点改善させて頂きます。
今後もより良いブログを目指して社員一同努めて参りますので、引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。

投稿: 管理人 | 2011年1月 4日 (火) 22時13分

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