「イスラム」だけじゃない、イランの魅力新発見!
先日「ペルシャ帝国大周遊と9大世界遺産 22日間」の添乗より帰国いたしました。ハイライトばかりでなく、まだまだ知られていないイランの北西部も周りたい!という以前からのご要望にお応えして作られた初催行のツアーです。ツアータイトル通り、イスファハンやペルセポリス、またゾロアスター教が息づくヤズド、薔薇が有名な芸術家の街シラーズやイスラム教・シーア派の聖地マシャドをはじめとする有数の観光地から、果ては日本人観光客初(?)のマニアックな遺跡まで、日本の約4倍の広さもあるイランを22日間、時間を掛けてたっぷりと巡りました。
皆様の中には、女性観光客はチャドルやスカーフを身につけないといけないし、お酒が一切飲めない・・・など、イランに対して「ちょっと近づきがたい、厳格なイスラム教の国」というイメージをお持ちの方もいらっしゃることと思います。しかし一度、イランの町を歩いてみると、純粋で人懐っこいイランの人々にいつの間にかスカーフの窮屈さも忘れてしまうほど心が癒やされ、安心して旅をすることができます。またどんなに小さな町にも必ず「金曜モスク」と呼ばれるその町のシンボル的存在のモスクが建てられ金曜日になると挙って町中の人々は集まりメッカの方向に向かって祈りを捧げ、その信仰心の厚さに驚かされます。
熱心なイスラム教の国イランですが、今回のツアーでは「聖タデウス教会」というアルメニア正教会を訪れました。2008年にユネスコ世界遺産に登録されたばかりのこの教会は、紀元68年に建てられたイランでも最も有名なアルメニア教会です。当時の王タデウスはキリスト教布教のためこの地を訪れましたが、当時勢いのあったゾロアスター教の支持者シナドークにより3500人のアルメニア正教徒と共に殺害されてしまいました。その追悼のために建てられたのが聖タデウス教会でした。
「教会」と聞くと華やで煌びやかな装飾が施されているイメージですが、この聖タデウス教会は石造りで三角錐の形が可愛らしい小さな教会です。目を見張るほど緻密に施された外壁のレリーフを眺めつつ歩いていると、聖堂の内部へと続く入口にユニークなレリーフを見つけました。それは天秤を持つ天使の姿。面白いことに反対側の出口に回ると、こちらには悪魔を槍で刺している天使の姿が彫られています。ガイドさんに尋ねてみると、それぞれのレリーフには意味があり、入口は「懺悔のために訪れた信者には一体これからどんな裁きが待っているのか?」また出口には「罪を悔い改め、改心してまた歩みだしなさい」という意味があるのだそうです。なるほど、と思いました。その他にも壁一面には見ている者の想像を掻き立てるレリーフがたくさん残されています。
世界遺産といえども、まだまだ観光地化されていない聖タデウス教会。観光業界に携わる者として、少しでも多くの人に知ってもらいたい場所だなぁと思う反面、いつまでもこの素朴な雰囲気を失わないでいて欲しいと思いました。(三橋)
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