サウジアラビアとタバコ好きのガイド
前回に引き続き、先日添乗した「アラビア六カ国大周遊 18日間」の話の続きを致しましょう。今日は、これまで私が出会ったガイドさんの中でもとびっきりおもしろい、サウジアラビアのガイドさんの話です。
オマーンの首都マスカットから飛行機で1時間と少し、サウジアラビアの首都リヤドに到着です。さっそく出迎えてくれたガイドのサッドさんの自己紹介が始まりました。
「皆様は、サウジアラビアという国について、色々なイメージをお持ちかと思います。どんなイメージをお持ちでもけっこうです。けれども、このサウジアラビアで約一週間滞在しお帰りになる際には、できるだけたくさんの発見をお持ち帰り頂ければと思います。皆様の頭の中で何かしら、サウジアラビアに来る前とその後で考えに良い変化が生まれるように頑張りますので、よろしくお願い致します。」そのような趣旨の話でした。
とにかくざっくばらんで陽気な性格なサッドさん。少し私が緊張するようなお客様からの宗教や政治の質問にも何でも率直に答えてくれます。イスラム教って、何ですか? 男尊女卑の風潮はないのですか? 本当にお酒は全くないのですか? 王様は本当に尊敬されているのですか? 部族同士の争いは? 石油が無くなると? 等。
一つ一つの質問に対する返答を全て書くことはできませんから、ここでは私の心に残ったサッドさんの言葉をほんの少しだけ、ご紹介しましょう。
本当のイスラムの教えを知りたければ、巷に溢れるイスラムを語る人の言葉から耳を閉ざすことです。ただ、コーランを一人読めば良いのです。常にアッラーはあなたと共にいます。コーランはアッラーの言葉です。ただあなたがコーランを深く読み感じたことが、イスラムの教えなのです。
私は良いイスラム教徒ではありません。タバコも吸うし、その他にも人生で何度か間違いも犯しました。ですから、私はアッラーに願い事はしないのです。ただ、許しを請うだけです。
サウジアラビアは閉ざされた国ではありません。日本にあるもの、あることは、大なり小なりこの国に必ずあるのです。例えそれが一般的にイスラムの教えに反すると考えられていることでも、同じ人間が住んでいるわけですから。石油資源で経済が成り立つこの国が、グローバリゼーションと無縁でいられる訳がないのです。
そして旅の最終日に、あるお客様からこんなご感想を頂きました。「いやぁ、サッドさんのお陰で本当に素晴らしい旅ができましたよ。サッドさんのお陰で、サウジアラビアやこの地域に対する印象がガラッと変わりました。やっぱり実際に来てみないと分からないことばかりですねぇ。」
このことをサッドさんに伝えると、サッドさんは心底嬉しそうな笑顔で、答えました。
「また、サウジアラビアに来てくださいね。」
「旅の醍醐味」は何かと問えば、食に風景に、遺跡や歴史といくつでも列挙できるでしょう。けれども、このお客様が体験なさったような、実際にその地を訪れることでしか味わうことができない感覚、認識の変化、そのようなものこそが、一番の「旅の醍醐味」だろうと教えられたような気がしました。(田村)
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