コーランが中心!(サウジアラビア)
先日、サウジアラビアの添乗より帰国致しました。サウジアラビアに観光客が訪れることができるようになったのは、つい数年前からで、これから次第に観光にも力が入っていくことが予想されています。サウジアラビアは厳格なイスラム国家。国内でお酒を飲むことはできませんし、女性が外に出る際には、たとえ観光客であってもアバヤ(頭からかぶる黒い布)の着用が義務付けられます。イスラムの聖地メッカには、非ムスリルの人々は近寄ることもできません。そんなサウジアラビアツアーにハイライトはマダイン・サレ遺跡。世界遺産にも登録されており、ナバテア人の建設したと言われる遺跡が残っています。 ナバテア人といえば、有名なのがヨルダンにあるペトラ遺跡。ペトラ遺跡は紀元前1世紀頃から砂漠の交易で栄えたナバテア王国の首都とされています。訪れたことがある方は、あの切り立った崖を利用した自然の要塞を抜けた先にあるエル・カズネが思い出されるでしょう。そんなペトラにある、墓と考えられる建築物の上部には階段状の装飾が施されています。この階段状の装飾は、ナバテア人の死生観を表し、この階段を登り天国へ近づくとされています。ペトラの話が長くなりましたが、ペトラがナバテア人の北の都で、マダイン・サレが南の都と現在では考えられています。
南の都マダイン・サレ遺跡でも、ペトラ同様に階段状の装飾が見ることが出来ます。実際、この遺跡が何の目的で作られてのかはまだまだ調査段階ですが、この階段状の装飾が施されていることから、おそらくナバテア人の墓と一般的には考えられています。まだまだ謎が多く残るマダイン・サレ遺跡ですが、現地のガイドさんから興味深い話を聞くことができました。興味深い話というのは、マダイン・サレの謎を説くコーランに登場する説。マダイン・サレはコーランに登場するタムード人が作った都で、年代は今から60,000年前。このタムード人の中にサレという預言者がおり、神から「ラクダを育てなさい。」という預言を授かり、ラクダも授かった。しかし、サレ以外のタムード人が神から授かったラクダを殺してしまし、神の怒りを受けます。一夜にして、サレとサレを慕う数名を残し、タムード人が天罰によって滅ぼされてしまいました。この逸話からマダイン・サレは「呪われた町」とも言われていますが、神によって滅ぼされたタムード人は家の中で倒れていて、その後、ナバテア人が建物の中で人が倒れている様子を見て、その建物を墓として認識した、という話です。つまり、現在、ペトラもマダイン・サレもナバテア人が作ったという考えは根本的に間違っており、ナバテア人がタムード人の作ったマダイン・サレに後から移り住み、更に大規模なペトラをマダイン・サレに真似て建築したと、ガイドさんは力説してくれました。現代の科学によって考古学的な裏づけがあるにも関わらず、ガイドさんのこの突拍子もない話でしたが、話を聞くうちに、ついつい惹き込まれてしまいました。ガイドさんを含む多くのサウジアラビアの人々はやはりコーランの世界が中心にあるのだと実感した話でもありました。
石油という我々にとっても切っても切り離せない産業を持つサウジアラビア。国家としても浅い歴史しか持たないサウジアラビア。この魅惑に溢れた国は、これからどんな歴史を刻んでいくのか、興味は尽きません。(吉村)
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