2011年2月21日 (月)

添乗員も歩いたミルフォード・トラック54キロ(ニュージーランド)

先日、「夢のミルフォード・トラック 完全踏破の旅 10日間」より帰国しました。
今では日本でも知名度が上がりつつあるミルフォード・トラックはニュージーランドの南島、島の南西部に位置しています。苔生した太古の原生林を歩きながら、峠に自生する高山植物や吊橋から泳いでいる魚が見えるほどの透き通った清流、氷河によって侵食されたダイナミックな渓谷や滴り落ちる無数の白滝など刻々と移り変わる景観の美しさから、「世界一美しい散歩道」と称されています。
島南部のテ・アナウ湖からスタートし、クリントン渓谷の清流沿い、標高1154mのマッキノン峠を越え、最後は穏やかなアダ湖畔を歩き、タスマン海の奥深く入り組んだ入江「ミルフォード・サウンド」までの、全長54キロを4泊5日で辿るトレッキング・コースです。
トレッキング専門のガイドが3~4人、混載ツアーに同行し、コースはトレッカーが歩き易いよう、常に整備されているので安心して歩くことができます。車道も通らない、山中のロッジには、常駐の世話人がいるので常に清潔に保たれています。濡れた衣類を乾かす乾燥室まで完備していて驚くほど快適に過ごすことができます。
またその反面、人間が立ち入ることで、自然を汚すことないように厳格なルールが徹底されており、「周辺の自然に余計な手を加えない」というのが基本のスタイルなので、日本の山歩きとは一味異なった、ワイルドなトレッキングを体験することができました。

ミルフォード・トラックを歩いた後で振り返ってみると、景観の美しさもさることながら、刻々と変化する過酷な自然環境の下で54キロを踏破した、という達成感が大きかったように思います。
このミルフォード・トラックがあるフィヨルドランド国立公園は、年間の降水量は6000ミリ以上という豊富な雨によって原生林は育まれています。たった一日の間、僅か数時間の間中でも天候は刻々と変化します。

雨の後に出現する白滝

両側に切立った断壁が迫る渓谷沿いでは、降り出した雨によって瞬く間に無数の白滝が出現し、遥か上方から落ちてくる水飛沫を浴びながら通り過ぎる場所もあります。トラック上に現れた小川、道を塞ぐ水溜りもあっという間に増えていきます。勿論、橋や飛び石なんてありません。
最初は靴を濡らすことにかなりの抵抗があり、躊躇います。しかし他に道はありません。覚悟を決めて足を踏み出し、ジャブジャブと小川や水溜りを越えてゆくのがミルフォード流の歩き方なのです。できる限り元々あった自然環境を変えず、人間が自然に合わせて歩くのです。
実は後の感想で、「水溜りや小川をジャブジャブ渡るなんて、子供の時以来。それが結構楽しかった。」と洩らした参加者も何人かいたほどです。また、強風で倒れ、コース上を遮断する倒木にもしばしば遭遇します。そんな時は枝をかき分け倒木を乗り越え、先に進んでゆきます。コース中に唯一ある、マッキノン峠越えは、九十九折りの坂道を登ります。立ち止まって上方を見上げると、周辺の山々からは数え切れないほどの滝が激しい水飛沫をあげて落下し、山頂の一角には氷河も残っています。森林限界点を越えると、岩ばかりの過酷な環境にも負けず、可憐な高山植物が咲いていました。そしてやっと登った標高1154mの峠には吹き飛ばされるくらいの強風が吹き抜け、夏なのに手が悴むほどの冷たい雨。改めて自然の厳しさを実感した峠越えとなりました。

苔生した太古の原生林

しかし大変なことばかりではありません。悪天の過酷な歩行中、ホッと気持ちを和ませてくれるのが、太古の昔から脈々と受け継がれているシダ類や苔が鬱蒼と生い茂る、穏やかな原生林でした。
水が滴る葉はより一層美しい緑を放ち、みずみずしい空気が一帯に漂い、木々や植物は雨の恵みで生命力に満ち溢れているように見えます。
深呼吸をして心機一転。大地や森から無限に沸きあがるマイナスイオンをいっぱい吸い込んで元気が湧き上がってきました。
少しずつ差し込んできた晴れ間は段々と明るくなり、あっという間に雨上がりの後の、すがすがしい青空が広がりました。
町の喧騒や車の騒音は一切無く、人間社会からは隔絶された世界。小鳥のさえずりが森に響き渡り、時折枝が擦れ合い、近づいてくる風の音だけが聞こえてきます。コース沿いの清流の水をペットボトルに汲んで喉に流し込む度に、自分の体が自然の一部になっていく気がしました。

クリントン川の清流

雄大な渓谷や清流沿いを歩き、鬱蒼とした原生林に佇む大木を見上げ、険しい峠越えに息を切らし、穏やかな湖畔にホッと一息。さらに天候次第でルートのコンディションが変わってゆくトレッキングコースは決して飽きることはありません。
雨天であっても、小川や水溜り、滝や峠の強風といった困難も楽しみながら、1つずつ乗り越え、自力で進んでゆくのがミルフォード・トラックの醍醐味なのかも知れません。
全区間54キロを完歩した後の心地よい達成感は最高でした!(上田)

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