2011年3月25日 (金)

人類最果ての村プエルト・ウイリアムスを訪ねて(パタゴニア・チリ)

Beaglecannelcruse  先日、「謎のイースター島、世界最南端の村とパタゴニア物語 15日間」の添乗より帰国しました。南米チリのイースター島とアルゼンチンを含む南部パタゴニア、さらに日本人はもちろん世界的にもまだまだ未知の土地である、世界最南端の村プエルト・ウイリアムスにまで足を伸ばす冒険心溢れるツアーとなりました。せっかくですから、今回はこのプエルト・ウイリアムスにまつわるいくつかのお話しを紹介したいと思います。

あらゆる情報が溢れているインターネットでも、このプエルト・ウイリアムスに関する日本語の情報はほとんどありません。わずかな個人旅行者の旅行記のようなものが、いくつか見つかるだけなのです。プエルト・ウイリアムスは、南米チリの最南端、ホーン岬のすぐ北にあるナバリノ島唯一の村です。ホーン岬は大西洋と太平洋の境界となり、南米大陸と南極大陸を隔てる荒海ドレーク海峡に面することを考えれば、どれほどの辺境かはいくばくかご想像頂けるでしょう。

さて、プエルト・ウイリアムスがあるこのナバリノ島へは、そう簡単には辿り着くことはできません。一般的に「世界最南端の町」として有名なアルゼンチンのウシュアイアという町へは、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスからひとっ飛びですが、この真の世界最南端の村への旅はそれほど容易くはないのです。ナバリノ島への定期便は無く、夏期のみDAP AIRという小さな航空会社が18人乗りのセスナを不定期に飛ばしているのみ。私の友人が数年前に訪れた時は、チリ南部の中心都市近くの港を歩き回り、何とか見つけた貨物船に乗せてもらいようやく辿り着いたそうです。

Dapair_2 写真をご覧下さい! この何とも冒険心を掻き立てるセスナのサイズとフォルム。夜中に、マゼラン海峡に面する港町プンタ・アレーナスの飛行場から搭乗したこのセスナは、ジェット機と比べるとほとんど助走もせずにふわりとパタゴニアの漆黒の空へと飛び立ちました。

翌朝、プエルト・ウイリアムスの観光が始まりました。2泊3日の滞在は暇するどころか盛りだくさん。先住民文化と貴重な植生の関連が語られるオモラ民族植物園、お天気に恵まれ多くのペンギンやアザラシを見ることができたビーグル水道クルーズ、この地域独特の南極ブナがあたかも屋久島のように生い茂るバンデラの丘へのハイキングなど、どれも思い出に残る素晴らしいものでしたが、ここでは最も記憶に残るエピソードを一つだけご紹介したいと思います。

滞在2日目の夜、突然ガイドのモリスさんが特別講義を開いてくれることになりました。実は、ガイドのモリスさんは、25年にもわたってこのプエルト・ウイリアムスに家族と共に住み、先住民ヤーガン族(ヤマナ族とも言う)の人々の暮らしを研究してきた文化人類学者だったのです。村の小さな博物館には、ベーリング海峡を渡り、南北アメリカ大陸を縦断してやってきたヤーガン族に関する展示があります。南極半島にほど近く、北緯に直すとほぼモスクワに当たる厳しい環境に適応したヤーガンの人々の生活とはどのようなものだったのだろうか。そんなことを考えていると、モリスさんから講義の提案があったのです。

夕食後、ホテルのラウンジに集まった私達の目の前にはモリスさんがプロジェクターで映しだす貴重な画像がズラリと並びました。19世紀以降本格化した西欧人との接触によってもたらされたスケッチや、フランスの博物館が所蔵する写真を通して、ヤーガンの人々の生活や文化が優しい言葉で語られました。最後に、モリスさんが講義の間に何度か繰り返した文化人類学者らしい印象深い言葉をご紹介しましょう。「ヤーガンの人々は、彼らの生活に必要なものは全てもっていたのです。学校もあり、社会があり、必要なものは学ぶことができたのです。西欧人が考えた教育されるべき存在では、決してなかったのです」。長年ヤーガンの人々と共に過ごし、彼らの環境に適応した知恵と文化を深く理解しているからこその言葉に違いなく、プエルト・ウイリアムスの旅の思い出に残る言葉となりました。

さて、このブログ記事を終わるに当たって、最後にある一つの事実を付け加えておきましOmoraethinicbotanicalgarden ょう。「グレート・ジャーニー」という名の途方も無い旅を成し遂げた関野吉晴さんという冒険家がいます。人類が誕生したアフリカから、人類が到達した南米の南端までを、現代文明の利器を使わずに自転車や犬ぞり、カヌーなどによって逆方向に人類の足跡をたどるという偉大な旅を成し遂げた方です。実は、その関野さんがこのグレート・ジャーニーの出発点に選んだ地こそ、このプエルト・ウイリアムスがあるナバリノ島だったのです。人類がアフリカで立ち上がり、5万3千キロの旅路の果てに辿り着いた、人類最果ての地へという事実そのものが、今回の旅の最大の魅力だったのかもしれません。(田村)

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コメント

いつも楽しく見ています。これからも更新楽しみにしていますね♪

投稿: 高田馬場の美容室スタッフ | 2011年3月25日 (金) 14時49分

コメントありがとうございます。
田村が添乗中につき、代わりに御礼申し上げます。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。

投稿: 管理人 | 2011年3月25日 (金) 15時55分

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