砂漠のオアシス?ヨルダンで野菜生活
「薔薇色のペトラと巨大遺跡パルミラを訪ねる旅9日間」の添乗に行ってきました。旅行といいますと、よく野菜摂取不足になるのではと悩んでしまう方もいるのかもしれませんが、シリア・ヨルダンのツアーでは、毎日が野菜生活でした。
雨が降らず砂漠のイメージが強い国ですが、新鮮で豊かな野菜が毎食提供されます。砂漠の国の新鮮生野菜の不思議。今回はヨルダンの野菜についての小噺を少々・・・。
ツアーの移動中、ヨルダン国内で野菜をたくさん積載したトラックを見かける場所がありました。それは世界でも有名な場所。海抜マイナス400mで冬でも温暖な気候である死海周辺。ヨルダンの首都アンマンから死海へ向かう道路で、トラックの荷台いっぱいに積まれた真っ赤なトマトがアンマンに向けって行く光景を見かけました。ときにはなんとバナナも!大量に詰まれた野菜の豊富さには驚かされました。特にトマトはヨルダンの人は毎日かかさず食べるくらいで、生トマトからヨルダンの国王様も大好きなたまねぎ、にんにく、羊肉をオリーブオイルで炒めたものにトマトペーストを絡めた料理などもあります。
暖かい気候の場所ということは、野菜や果物を育てるのに好条件、というのは納得がいきますが、野菜・果物を栽培する為に必要な水はどうするのでしょう。死海は塩分濃度が海水の10倍の濃さであるため、生物は生息しませんし、その水で植物が栽培できるとは思えません。しかも、ヨルダンは、中東の国ならではの乾燥気候下で国土の80%が砂漠地帯。そう不思議に思っているとガイドさんが、この地域の重要な水資源は、近くを流れるヨルダン川とザルカ川下流のダムに貯水された水をヨルダン渓谷のキングアブドラ運河で農地を潤している、と教えてくれました。ガイドさんは続けて水資源について興味深い話しをしてくれました。ヨルダンの平均年間降水量は、93mm(日本は1,718mm)。水資源が少ないということは水の値段が高いと思われるが、政府が援助してくれて水の値段は安い、と。それは農業に携わる水だけではなく、一般市民の生活水に対してもで、例えばガイドさんが3ヶ月使用した家の水道料金は、36JD(ヨルダンディナール)のとき、政策により27JDを差し引いた9JDを支払うだけ。そのような政策と農地灌漑事業の促進により、ヨルダンはアラブ諸国の中でエジプトのカイロに次ぐ二番目の野菜輸出国です。
毎食ヨルダン産の新鮮で美味しい生野菜とオレンジやバナナの果物がデザートが食卓を彩り、夏になればスイカやメロンも季節ものとしてでてきます。乾いた砂漠の国で豊富な野菜や果物は、オアシスのような潤いを感じさせてくれます。またヨルダン川と海抜の低さという自然条件の恵みと人工産物の運河により、いっけん砂漠の国とは関係が結びつかない野菜栽培が可能なだけではなく、豊富に採れるということは非常に興味深いものでした。
日中は遺跡巡りでよく歩き、食事では新鮮で繊維豊富な野菜と果物を摂取して、死海では泥パックをして・・・とヨルダンを旅することは身体にいいことづくし!でも、余りに美味しくての食べすぎは注意です。(高橋)
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