愛らしい村々と、愛にあふれたポルトガル王家
「ポルトガル探訪 13日間」の添乗より帰国しました。南のアルガルヴェ地方からアレンテージョ地方、中部や北部のミーニョ地方に至るポルトガルの魅力をご案内させて頂きました。
なかなか足を運ぶ事のない小さな村への訪問そして、自由散策のお時間は、お客様にも好評頂きました。とても印象に残った小村が2つあります。沈黙の音がする孤高の村「モンサラーシュ」と岩山の上に築かれた鷲の巣と呼ばれる「マルヴァオン」です。
1時間もあれば、村を散策することが出来るくらい小さくて可愛らしい村には、ゆったりとした時間が流れていました。自由時間に散歩をしていると、穏やかな表情のおじいちゃんやおばあちゃんとすれ違い、「ボン・ディア(おはよう)」と挨拶を交わします。ポルトガルはキリスト教徒の国で、国民の大部分がカトリック教徒です。敬虔なるこの国には、どんなに小さな村でも必ず立派な教会があります。そしてもう1つ立派なのは、お城の跡です。イスラム教徒との戦いや、レコンキスタ(国土回復運動)、他民族との戦い等、歴史を感じる事の出来るものでした。お城に上って見渡す小村の景色は、思わず「わぁ」っと声がもれてしまう程の美しさ。怒涛の歴史を経て残った、中世時代の素朴な雰囲気はこれからも失われることなく、保たれ続けてほしいと思いました。
このツアーでは小村だけではなく、美しい建築の修道院の数々も見所の1つです。「ポルトガルの建築は面白い」と言われるほど、様々な建築様式が入り混じり、そしてまたポルトガルの黄金期「大航海時代」に作られたポルトガル独特のマヌエル様式も非常に興味深いものです。いくつもの修道院をご案内させて頂きましたが、とても印象深かったのは、アルコバサという町にある、「サンタ・マリア修道院」です。
世界遺産にも登録され、ポルトガルの宗教建築で最も重要と言われる修道院は、質素・倹約をモットーとする「シトー派」の総本山であったところで、19世紀までは修道士たちも生活を行っていた場でした。修道院もさることながら、注目したいのは礼拝堂に安置されているペドロ王とイネス王妃の棺です。この棺に施された彫刻は、「ポルトガル最高傑作」と言われるほど精巧なるものです。時は14世紀、王子ドン・ペドロは、隣国のスペインから妃コンスタンサを迎えたのだが、この時に侍女として同行してきたのが貴族の娘イネスでした。ペドロ王子はイネスと激しい恋に落ちてしまいます。激怒した王は、イネスを暗殺してしまうのですが、その後王として即位したペドロ一世は、教会や重臣たちに亡きイネスを正式な妻と認めさせたのです。その2人の棺は共に足を相手方に向けて安置されています。最後の審判が下り、起き上がった時に最初に見るものは、最愛の妻である事を願っていたからだそうです。棺にも、「永遠の愛を誓う」といったような彫刻が施されています。2人の運命は悲劇的なものでしたが、強い愛で結ばれた2人を羨ましく思います。
天井の高いゴシック様式の礼拝堂では、週末になると結婚式が催されており、ここで式を挙げたカップルはきっと永久の愛に包まれることとしみじみ感じました。 じっくりと時間をかけてご案内したポルトガル。ユーラシア大陸の最西にある国には、愛らしい小村や建築様式だけではなく、他にももっともっと魅力的な景色や文化があります。「南蛮貿易」で日本との繋がりもある国、どこか懐かしさを感じる13日間となりました。(内野)
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