ミャンマーの僧院に暮らす人々の食事事情
先日、「ミャンマー物語」より帰国しました。
日本で報道されているミャンマーの様子から想像すると、町に軍隊がいるようなピリピリした感じかな、なんて思われる方もいるかもしれませんが、実際のところ、軍隊を見かけるようなことはそうそうありません。実際に行ってみると、とにかくお坊さんや寺院にお参りに行く人々がいっぱいで、穏やかでのどかな雰囲気だという印象がとても強い国です。
今回のツアーでは、お坊さんの食事風景を見学する機会がありましたので、その様子を少しご紹介致します。ミャンマーでは、保護者の了承を得た子供たちが僧院で生活をしています。僧院での食事は1日2回、早朝と10時半頃の2回だけで、12時以降に口にしても大丈夫なのは、水だけです。今回訪れたマンダレーのマハーガンダヨン僧院では、その2回目の食事風景を見学することができるため、10時頃から観光客が押し寄せ、食堂付近を囲みます。食堂では、配膳をするお坊さんの姿が見え、食堂の入口には、おかずが入った大きな容器が運ばれてきます。そして、10時半頃に合図の鐘が鳴ると、僧院の各部屋から托鉢を持ったお坊さんたちが列になって食堂へやってきます。今回見学した日でさえも数百人もいて、随分多いなと思いましたが、現地ガイドさんに伺うと、今は地方の僧院に行っているお坊さんが多く、普段はもっと多くて食堂のテーブルがびっしり埋まるのだそうです。集まってきたお坊さんは、一人ずつ入口でおかずをもらい、各自テーブルにつき、私語厳禁の厳かな中、食事をされます。観光客も食堂の中に入って近くから見学する事ができるのですが、鉢の中をのぞくと、結構な量のご飯が入っています。おかずは基本的には煮魚やバナナを煮たものですが、寄進者がいた日は違う食事が出されます。食べ物を鉢に残して早々と食堂を去る人が多いのは、部屋に戻って残りを12時ギリギリに食べるためなのだそうです。それでも12時以降は翌朝まで何も食べずに勉強や修行をするなんて、すごいことです。
また、インレー湖付近の町では托鉢の様子も見ることができました。一列に並んだお坊さんたちが朝靄の向こう側からこちらに向かって歩いてきて、家の前にご飯を入れた鍋を2つ置いて待ち構えていたとある家庭より、一人ずつ鉢の中にご飯を入れてもらっていました。その鉢の中の食料は、各自で所有するのではなく、全員で分けるのだそうです。こうした風景がミャンマーでは至るところで目にするので、何とも穏やかで静かな印象を受けました。(飯岡章子)
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