マルタの猫バスに乗って(マルタ島)
先日、マルタ共和国の添乗より帰国いたしました。
マルタ共和国は、マルタ本島、ゴゾ島、コミノ島の有人島3島と、いくつかの無人島から成る島国で、全ての島を併せても、屋久島の半分ほどしかありません。大変小さな国ですが見どころは多く、ヨハネ騎士団が築いた城塞都市や、新石器時代に形成された世界最古の巨石遺跡の数々、ホメロスの叙事詩『オディセイア』の英雄オディッセウスが女神カリプソと7年間過ごしたとされる愛の洞窟など、興味深い観光地がたくさんあります。
本日は、そんなマルタ島の風物詩、マルタの路線バスを紹介いたしましょう。マルタ島の人々の重要な交通機関ともなっている路線バスは、キュートな車体が印象的です。実は、宮崎駿氏の『となりのトトロ』に出てくる猫バスのモデルになったとも言われ、日本人観光客からは「猫バス」の愛称で親しまれています。なるほどよく見てみると、猫顔のボンネット。しかも、ひとつひとつ、微妙に顔だちが違い、大変ユニークです。
マルタ島の主要都市には、たいていこの路線バスが走っていて、小さな島国らしく、どの都市にも1時間以内でアクセスが可能です。今回、私達は、自由時間を利用してこの猫バスに乗車してみました!バス停には、時刻表は見当たらず、やってくるバスを待たなければなりません。のんびりとしたマルタ時間を実感します。
バスがやってくると、いよいよ乗車。まず、バスの運転手さんに乗車運賃を払います。料金はゾーンによって決まっていますが、1ゾーンなら47セント(マルタはユーロが導入されています)ととても経済的。1ゾーンで20分~30分くらいは移動できます。地元の人はきっちり47セント支払っていましたが、小銭の持ち合わせがない私達には、ひとりひとりお釣りを渡してくれます。そのために時間がかかってしまい、なかなか出発できませんが、ここはマルタ島です!誰も文句を言わず、待ってくれました。乗り心地は、ガタガタと揺れて今ひとつですが、乗り合いバスらしく現地の人々と交流を楽しめる点も魅力です。
降りるときは、天井からぶら下がっている紐をひっぱると、チンチーン!と鐘が鳴って、停車。一応バス停もありますが、走って乗り込んできたり、自分の降りたいところで鐘を鳴らしてスピードを落としてもらったり、わりと融通が利くようでした。
残念ながら、この可愛らしい猫バスは、排ガスを多く排出するため、環境保護の面から今年11月に廃止となることが決定しました。今後は徐々に、統一された近代的デザインのバ スに変更し、切符売り場や時刻表も管理されていくそうです。マルタのシンボルともなっているレトロな車体のバスが町から消えてしまうのは、とても残念です。のんびりとした時間が流れるマルタで、時刻表どおりに運行するのかどうかは怪しいというガイドさんの言葉も印象的でした。
廃止間近の猫バスに乗車して、マルタの町をドライブ。いつもとは違った旅の楽しみとなりました。(兼井)
≪マルタ島へのツアーはこちら≫
※追記※
長らく人々に愛されたマルタのボンネットバスですが、2011年7月に全面廃止となり、現在は新しい車体がマルタの人々の足として活躍をしています。
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