イランで過ごすお正月~ノウルーズ~
先日、「イラン・イスラーム紀行 11日間」より帰国致しました。日本では春分の日に当たる3月21日は、イランではお正月です。この期間、学校は前後2週間、会社も1週間ほどお休みになります。私たちがテヘランに到着した日は年末最後の金曜日(イスラム教の休日)でした。首都テヘランにある、イラン革命の指導者ホメイニ廟の近くには大きな墓地があり、周辺の道路はお墓参りに行く家族連れの車で大渋滞でした。国や宗教が違っても、祖先を敬う気持ちは世界共通です。また年末の大掃除やお年玉、お正月料理を作るという日本と似た文化もあります。
空港やホテルのロビーなどでは、ハフトシンという日本のお正月飾りのように縁起物が飾られていました。ハフトシンは「7つのS」が付くもので、りんご・金貨・麦や豆を発芽させたもの・にんにく・酢・サマヌという麦芽のお菓子・スパイスなどがテーブルに並びます。
イランのお正月は家族で過ごすのが基本です。特に私たち日本人の目を引いたのが、公園のちょっとした芝生のスペースや道路の脇にまで、色とりどりの三角テントを張って、キャンプをしている事です。もちろん、私たちと同じようにホテルに泊まっている家族もいますが、節約のためにテントを持参してピクニックを楽しむ家族連れを多く見かけました。新年3日目、私たちはテヘランから南に約600kmにあるシラーズという街にいました。市内には、国民から親しまれている詩人の霊廟、郊外にはアケネメス朝ペルシアの都でダレイオス1世が築いたペルセポリスがあり、イラン国民にとっても人気のある観光都市なので、遠くはイランの北西部から来ている家族もいました。ピクニック広場では、どこから電源を取っているのか、お昼時に炊飯器や鍋を囲んで食事をとる人もいました。
イラン国民は親日家が多く、私たちが観光をしていると「こんにちは。日本人ですか?」と声をかけてくれます。主に若い人は英語を話すことができるので、ちょっとしたフリータイムに会話が盛り上がることが何度もありました。特にこのお正月の期間は地方から各観光地に遊びに来ている人が多く、地元では外国人と交流する機会が少ないのです。私たちから一歩離れたところで「一緒に写真を撮りたいけど、声を掛けるのが恥ずかしいな。」と小声で話をしているのを聞いた私たちのガイドが、「一緒に写真を撮ってあげて!」とシャイな女の子を助けてあげる場面もありました。
普段は日本を含め外国からの旅行者が多い観光箇所も、お正月という特別な期間に当たり、陽気で親切なイラン国内旅行者とも触れ合う機会が多くあり、笑顔の絶えない楽しい旅になりました。(鈴木寛子)
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