バレンシアの人々の願いをのせて(スペイン)
先日、「バレンシアの火祭りとラ・マンチャ、アラゴンの古都を訪ねて」のツアーより帰国致しました。遠くから見ても、近くから見ても日本の桜そっくりのアーモンドが開花しており、一足早い春の訪れを感じる事ができました。さて、本日は、一年に一度、3月19日のサン・ホセの日にスペイン第三の都市バレンシアで盛大に行われる火祭りについてご紹介いたします。サン・ホセは、スペイン語で聖ヨセフ、聖母マリアの夫でイエス・キリストの父親です。ホセは、大工の仕事をしていた為、大工職人の守護聖人として大切にされており、昔から、サン・ホセの日(3月19日)に古い材木や木屑などを集めて大きな焚き火をする習慣が大工たちの間で受け継がれていました。ある時、張子の人形を作り、火の中に投げ入れたのがこのお祭りの始まりです。現在では、1年も前から競って構想を練り、風刺の効いたテーマが取り上げられるようになりました。旧市街には、人形(ファヤ)が大小合わせて約300もあり、火を放ち出た煙が人々の願いを天へ届けてくれるというわけです。
夕食を食べ終わり、旧市街へ出かけ、9時ごろ旧市街に到着しました。あちこちで爆竹がなり、沢山の人々で早くも街は賑わっています。それぞれの思いをこめて1年も前から作ったファヤが街中にあり、見ている人々の目を楽しませてくれます。ファヤは点火する時間が決められていますので、その時間に一斉に火が放たれます。
まず、10時に子供たちのファヤに火が点けられますが、その前に行われる盛大な花火と爆竹によって気分は高められます。ファヤの周りをかわいい女の子が、力強い男性に肩車され何周も回ります。そして、周りの観客の気分が最高潮に高まったところで火が放たれます。
とてもかわいらしかったファヤは、一瞬にして火の中に消えていきます。沢山の煙を出しながら空へ昇り、人々の願いと共に天に消えていきました。
子供たちのファヤが点火された後、時間差で大人のファヤに点火されます。夜中の12時、子供のファヤの何倍もある大きなファヤの周りには、沢山の人々が集まり、人垣が出来始めました。
旧市街中にあるファヤが一気に点火されます。私たちの目の前にあった、フラメンコの一場面を切り取ったファヤにも火が放たれました。子供のファヤとは比べ物にならないほどの迫力!
思わず見入ってしまい、カメラのシャッターを押し忘れてしまうほどでした。
人々が一年がかりで願掛けをして作成したファヤが一瞬のうちに火の中に消えていきます。
夜中1時には、市庁舎広場にてその年のナンバーワンのファヤが燃やされます。
一番の盛り上がりを迎え、お祭りは終了となります。
スペイン人の熱気と、ファヤの燃え盛る熱さとで、気分も高揚。春のスペインのお祭りを満喫しました。(津波)
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