イタリア統一150年、今も昔も変わらない食と美都
この度「中北部イタリア、珠玉の美都を巡る12日間」より帰国しました。 このツアーではミラノ、ヴェネツィア、ローマという有名都市には立寄らず、中北部イタリアのベルガモ、クレモナ、マントヴァ、パルマ、モデナ、ラヴェンナ、フェラーラ、ボローニャ、ウルビーノ、アレッツォ、コルトーナ、シエナなど、小さな都市を巡ります。
イタリアは僅か150年前に独立したばかりの国です。イタリアという一つの国としての歴史は浅いですが、それぞれの独立した都市は古代ローマ崩壊以来、約1500年もの長い間、近隣都市をライバルとしながら繁栄してゆきました。 多くの都市は他都市からの攻撃に備えるため丘の上に町が作られました。駐車場からくねくね道の坂を上がってゆくと町の中心の広場に当たります。大聖堂や市庁舎など、どこの都市にもある物ばかりですが、それぞれの都市が今も独自の文化と伝統を守り続けているために他の都市とは違うその都市ならではの美しさがあるのです。
アレッツォも他の都市と同じく坂道でした。メインストリートには辛い坂道を楽しくするトスカーナ名物のお店が軒を連ねています。陶器の店、ピノキオグッズの店、チーズの店などなど、横目で見ながら歩くだけでも楽しい旧市街。シエスタ中の肉屋のポスターを見ると、草原を駆け巡る豚。灰色の体で首の所に白い模様が入った珍しい豚の姿が写っています。写真を指して「これが昔からみんなが食べているトスカーナのイノシシよ!」と熱く語るガイドさん。トスカーナ州と言えば、ハムやソーセージが美味しいと有名ですが、普通の豚のハムとは違うワイルドな味がするそうです。町に沢山ある肉屋さん、どの店を覘いても必ず軒先に大きなサラミがぶら下がっていますが、その材料となる豚の写真を見たのは初めてでした。
昔からフィレンツェとはライバルだったというシエナは、イタリアリピーターのお客様からも「何度来ても素敵な街並み」と人気の町です。プッブリコ宮殿の中の壁画はとても興味深いので、シエナでプッブリコ宮殿を訪れる事があったら思い出してください。アンブロージョ・ロレンツェッティによる「善政と悪政の効果」という絵。悪政の方の絵では人々が仕事もしないでだらだらとお金を数える姿などが描かれています。善政の方の絵には一生懸命農作業をする人々と、広がりゆく農地、当時の自然のままの風景の中に鶏や豚も描かれていました。
「この豚もしや、、、」と思い近づいてよーく見てみると、やっぱり!肉屋のポスターで見たのとそっくりなグレーの豚でした! 「あ~!あの豚だぁ」とお客様と私は大喜び!シエナのガイドさんは「これはトスカーナのイノシシよ!この絵からは人々が今も昔と同じものを食べているという事が分ります」とアレッツォのガイドさんと同じように熱く説明していました。 それぞれの都市が独立していた昔も、統一国家となった今も、イタリアの美しい街並みと美味しい食べ物は変わっていません。 (関根)
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