ユーゲントシュティールって何ですか?(ラトビア)
先日、バルト三国より帰国しました。
リトアニア、ラトビア、エストニアという順で周遊しましたが、4月中旬はまだ寒いかなという心配もよそに、ちょうど陽気な春がやって来る時分で、まだ上着が必要ではありましたが、それほど寒くもなく天候も良好で、なかなか快適な日々を過ごすことができました。
バルト三国の真ん中、リトアニアの首都リガが、この地域では一番大きな都市で人口約80万人、中世にハンザ同盟都市として大きく発展したため、今も旧市街にはドイツ風の建物が数多く残っています。
旧市街で面白いなと思ったのは、ラトビアでは花崗岩が採れないので、この旧市街を築こうとしても石畳を敷くことができない、という大きな問題があったそうです。
そこで、農作物や商品を売ろうと集まってくる商人に、通行税として、花崗岩を納めることを義務付けたのだそうです。
最初の頃は石のサイズが統一されていなかったため、大小さまざまな石がボコボコといびつに並んだ石畳の道になってしまい、それは今でも残っており、さすがに歩き辛かったですが歴史を感じられました。
後に少しずつ改良されていき、旧市街の大部分はキレイな石畳が敷かれています。
また、リガといえばこの旧市街だけではなく、新市街の方へも足を延ばします。
新市街は、19~20世紀に建てられた建築物が集まっています。19世紀のリガは、あらゆるタイプの建築物が乱立していたため、街の景観を統一しようという考案から、この新市街一帯の建築物の様式を統一することになりました。
そこで採用されたのが、「ユーゲントシュティール」様式でした。
ユーゲントシュティールと聞いてもあまりピンと来ないかもしれませんが、「アールヌーボー」をドイツ語圏ではこのように言います。
そのアールヌーボーが、リガで独特の発展を遂げていきました。
高級住宅エリアであり、当時外観の華麗さを競い合うコンペが行われていたため、今見ても豪華な装飾が建物めいいっぱい施されています。
ギリシャ神話に登場する神々や、人物の顔、動物などが外観を飾っており、見る者を飽きさせることがありません。ライオンやワシはその建物のオーナーの権力の象徴として、よく描かれました。
当時、ここを手掛けた建築家の中でも有名なのが、映画「戦艦ポチョムキン」の監督の父親である、ミハイル・エイゼンシュテインです。
彼の肖像もこの界隈に立っています。
ちなみに、外観を飾ることに熱中した反面、外からは見えない中庭には一切飾りがないシンプルな造りになっているのも、面白いです。
これらの建物は現在は、各国の大使館、大学、銀行、そして高級マンションとして使われています。
そして、こうした高級エリアにも、花の露店が必ずあります。
ラトビアでは、知人の家を訪問する時、誕生日の時、そして奥さんに叱られた時など、いろいろな特別な時に花をプレゼントすることが習慣となっているので、街角の至るところに花屋を目にします。
建物や街作りを見ていくと、リガの変遷が垣間見え、興味深いものでした。
(飯岡)
>バルト三国への旅はこちら
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