青海チベット鉄道に揺られて
「青海チベット鉄道とチベット大周遊 11日間」より帰国しました。4月の青海省はまだ雪がちらついており、唐から吐藩王国へ嫁いだ文成公主が通ったと言われる日月山峠は真っ白な雪景色。新緑の時期に見る景色とはまた違った、悲しげだがどこか美しい雰囲気に包まれていました。今回の旅のハイライトは、何と言っても2006年7月に開通して以来、今尚その人気は冷めやらぬ「青海チベット鉄道」への乗車!この日は上海~ラサへの列車に乗車しました。夜に西寧市を出発し列車泊、翌朝ゴルムド駅に到着し、夜ラサに到着の行程となります。列車は2時間遅れで西寧に到着。急いで荷物を積みこんでいる間に、列車は音もなく出発しました。皆様は4人で1つのコンパートメント(一等寝台列車)をご利用いただきます。夜も遅く、落ち着いた頃は消灯時間となり、すぐにお休み頂きました。私も自分のコンパートメントに戻り、廊下にある簡易のイスに座って、上海から来たという青年としばしの歓談。彼はチベットにいる知人を訪ねていくのだと話していました。
暗闇の景色の中、窓の外を眺めていると時折車のライトが見えます。この窓の外には壮大な景色が広がっているのだろうな~とか、あの車はどこへ向かっていくのだろうと、静けさに包まれた中、ボーっとしながら過ごしていました。ベッドに横になったのも束の間、早朝5:30ゴルムド駅到着。この駅では高地用のディーゼル車に交換する為、20分間の停車…とは言え、外に出て駅の看板や、先頭まで行って交換作業を見る時間はあっという間に過ぎていきました。そしてまた列車は音もなく出発します。食堂車で朝食を召し上がった後からは、いくつもの見所を通過していくので、窓の外の景色から目を離せません!10:50、トト河を通過。トト河は中国一の大河、長江の源流でタングラ山脈の氷河を源としています。この時期はまだ寒く、海抜4547ⅿの場所には凍った部分も見られました。次の見所は鉄道駅の中でも1番の最高地点(海抜5068ⅿ)であるタングラ駅です。駅の看板を写真に撮るのに必死ですが、これがまた難しい。いくら前々から構えていても、ホントに一瞬ですので、気合を入れてお写真を撮ってください。そう何度も来られる場所ではないだけに、世界一高い駅を通った時は感動です!肉眼でご覧になることもお忘れないよう。ここを境にチベットへと足を踏み入れていくわけですが、標高も次第に下がっていきます。洗面所の近くにある高度計を確かめに行くのが、皆さまの習慣となっていました。この鉄道の旅で、下車できるポイントはゴルムド駅ともう一つ、ナクチュ駅ですが、ここは海抜4152ⅿなので、外へ出た時にはゆっくりゆっくり行動し、深呼吸が大切です。
そうこうしていると、だんだん緑の木々や畑の景色が見え始め、もうラサが近いようです。2時間遅れての出発となったので、到着も夜遅くなるかと思っていたところ…どこで巻き返したのでしょう、ほぼ定刻通りに到着。遠くの方に、ラサの象徴「ポタラ宮」が聳えているのが見え、「ついにチベットに来た!」と気持ちが高揚します。なんだかあっという間に終わってしまった「天空列車」の旅。壮大な山々の景色を見ながらの旅は、これから始まるチベットの旅の幕開けとしては最高のものでした。世界一高い所を走る列車の人気はこれからも絶えることなく、乗車した人々を魅了させてくれるでしょう。(内野)
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