花に彩られるギリシャ神話の舞台
先日、「ギリシャ物語15日間」より帰国致しました。ギリシャ神話の宝庫、ペロポネソス半島や古代の神託の地デルフィ、そして崖の上に佇む絶景のメテオラ修道院群、ギリシャの英雄アレクサンダー大王ゆかりの地ペラやテッサロニキ・・・と毎日がハイライトのあっという間の15日間でした。皆様はギリシャというと何を思い浮かべるでしょうか。紺碧のエーゲ海に浮ぶ島々や白壁とコバルトブルーのドームのコントラストが素晴らしいサントリーニ島など、あげていくときりがありません。
帰国して3週間ほど経ちますが、ギリシャの野花が彩る遺跡の数々がまぶたに焼き付いて離れません。春の訪れを神が祝福してくれているかのように、ギリシャ神話のゆかりの地は野花で覆われます。
例えば、オリンピアではピンクのハナズオウが見ごろを迎えていました。ハナズオウはヨーロッパではユダの木とも言われることもあります。キリストを裏切ったことを悔いてハナズオウの木で首を吊って自殺したと言われています。そんなことは忘れさせるくらい、美しく4月半ばになりピンクの花に若葉の混じる日本の桜を思い出させてくれました。オリンピアといえば、オリンピック発祥の地として有名ですが、当時はギリシャ主神のゼウス信仰の中心とされ、女性や奴隷は入れない聖地でした。オリンピックは神々に捧げられる祭典として始まったと言われています。
そして今回のツアーで私が忘れられなかったのは、スニオン岬です。スニオン岬と言えば、エーゲ海に沈む夕陽。皆様、楽しみにされていましたが、残念ながら夕方から雲の多い天気。この日はギリシャで過す最後の日。1時間30分ほどバスに揺られ、対岸にエギナ島やハリウッド俳優の別荘も建つ高級住宅地などを通り、船乗りたちの祈りの場、海の神ポセイドンの神殿を見学に行きました。神殿に近づくにつれ、車窓からポピーやマーガレットなど色鮮やかな野花が見られ、歓声が上がりました。対岸に見えるポセイドン神殿の前で写真ストップ。皆様は神殿よりもそばの道路に咲き乱れるお花に夢中でした。
エーゲ海には様々なギリシャ神話が残っていますが、ポセイドン神殿に残るのはテセウスとアイゲウスの神話。クレタ島の怪物ミノタウロス退治に行った英雄テセウスは、無事に戻るときには白旗を揚げると父アイゲウスに約束するが、ミノタウロスとの戦いに勝ち、そのことを忘れていたテセウスは黒旗をあげたままで、スニオン岬に戻ってきます。その船を見た父アイゲウスは息子の死を察し、海に飛び込んでしまいました。まさにそこにポセイドンの神殿が建てられています。アイゲウスが飛び込んだ海は彼の名をとり、アイゲウス(エーゲ海)と呼ばれるようになりました。
そんな神話の舞台でもあるポセイドン神殿。イースター休暇のイタリアの学生達に混じって、神殿に向かい、野花の咲く道を登っていきます。雲の多い天気だったため、半ば諦めていた夕陽ですが、ポセイドン神殿についてから奇跡のような出来事が起こりました。雲の間から太陽の光が差し込み、エーゲ海を照らしたのです。それはまるでギリシャの神様が降りて来そうな不思議な光景。これには私たちはもちろん、地元のガイドさんも見とれていました。
ギリシャは神話の舞台であるとともに、ヨーロッパ文明のゆりかごでもあります。エーゲ海をはじめ、アネモネ、ナルシス、ヒヤシンスなどのお花の名前もギリシャ神話と関係しているものがたくさんあります。四千年の歴史を誇るギリシャ。現在、世界中を旅行することができますが、まずはギリシャ。ギリシャ神話の神々が自然の美しさを教えてくれるはずです。(丸谷)
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