歴史のカレンダー・メルブ遺跡(トルクメニスタン)
眠い目をこすりながら早朝の飛行機でトルクメニスタンの首都・アシハバードからマリィへと降り立ちました。真っ青に晴れ渡った青空は、私たちが目を覚ますのに充分すぎる程眩しく、早速、メルブ遺跡へと向かいました。
「さまよえる町」、聞いただけで好奇心をくすぐるフレーズ。そう、このメルブ遺跡の集落のはじまりは紀元前6世紀にまでさかのぼります。シルクロードの交易の拠点として、アレクサンダー大王からアケメネス朝、パルティア、ササン朝など各時代に栄枯盛衰を繰り返してきました。その度にメルブの町は元々あったところに建物を造るのではなく、新たに隣接したところに町を築きました。そうしたことにより時代の異なる遺跡が点在。「さまよえる町」と言われる所以なのです。荒涼とした砂漠に残る土の塊、崩れかけた城壁、そして霊廟。紀元前のものから紀元後まで悠久の歴史を感じることができるのです。
グヤウル・カラは、ゾロアスター教、ネストリウス派キリスト教会、仏教寺院が同時期に仲良く?共存していたと言われます。仏教寺院跡としては世界で最西端のもので、現在は土の丘にしか見えませんが、ここから仏像の頭や経典が見つかったというのですから驚きです。
また、6世紀に建てられた大キズカラ。もともとは豪族の宮殿だった建物は、1221年にモンゴルの侵攻にあった時に女性達がこのキズカラに立てこもり自分達の身を守ろうとした事から「乙女の要塞」と呼ばれるように。近くに建つ小キズカラから男性がリンゴを投げいれ、大キズカラの女性が受け取ってくれたらその人と結婚できたという可愛いお話や、へラートまでの秘密の地下道説も気になるところです。
新しいものでは、12世紀のセルジュークトルコ時代のスルタンサンジャール廟。天女と恋におちたサンジャールの伝説が残るこの廟は、奇跡的にモンゴルの破壊を免れたと言われる廟です。見所はつきません。
まだまだ発掘中のメルブ遺跡では、どんな新しい発見が足元に眠っているか分かりません。2000年の歴史の廃墟、さまよえる町を歩けば夢が膨らみます。(岩間)
| 固定リンク
「アジア情報」カテゴリの記事
- 地上からも上空からもヒマラヤ山脈とアンナプルナ山群を堪能!(ネパール)(2017.12.28)
- 酸っぱいけど甘辛い?カンボジアの「お漬け物」(2017.12.27)
- お釈迦様入滅の地、クシナガルへ(2017.12.15)
- ネパールの生きた女神、クマリにびっくり!(2017.10.20)
- 幸せの国ブータンに幸せを運んだ日本人がいた!(2017.09.07)
「世界の歴史情報」カテゴリの記事
- ヨーロッパ文明の礎、燦然たるギリシャの歴史(2017.03.23)
- 遥かな時を越えて、ポルトガル大航海時代と日本の関わり(2016.11.04)
- クリスマスに訪れた五島列島、心癒される教会群巡り(2016.01.08)
- インドへの旅の途中、玄奘三蔵が立ち寄った地・高昌故城(中国・新疆)(2015.11.24)
- 大きな歴史の舞台は小さな古都レーゲンスブルクから(2015.11.10)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント