シベリア鉄道の旅~その3(最終号)~
旅も終盤となってきました。イルクーツクから1日シベリア鉄道に乗車して、クラスノヤルスクに到着です。クラスノヤルスクはシベリアの中でも第3の都市。エニセイ川の流れる工業の町ですが、その近郊にはストゥルビィ自然保護区があり、世界遺産への申請を出している場所です。クラスノヤルスクの1日目は市内観光でしたが、2日目は自然保護区のハイキングとエニセイ川のクルーズへご案内します。この2日目は、今までなまっていた体を存分に動かしていただける日です。ストゥルビィには奇岩が多くあることが有名ですが、いくつかの奇岩を見ながら林の中を2時間程ハイキングします。おばあさんと孫娘と呼ばれる岩や、眠っているライオン、迷子になった小象などといった非常にユニークな岩がたくさんあります。1時間ほどかけて、景色の開けたところまで上っていくと、おじいさんの横顔に見える岩があり、ちょっと難関ではありますが、この岩をよじ登ると…目の前にはタイガの海が広がり、思わず「わーっ」と声がもれてしまうほど、美しい景色を見る事が出来ます。「岩を登るのは大変だけど、登ったからこそ見ることの出来る景色がある。登ってよかった~」との声を耳にしました。
その後は、山ガイドの小屋で昼食を頂きましたが、ここもまた自然に囲まれた場所にあり、マイナスイオンを存分に浴びました。 エニセイ川クルーズへ向う途中、ツァーリの展望台へ立ち寄ると、何台もの白いリムジンや飾り付けされたジープがありました。なんだろうと思っていると、白いドレスを着た花嫁さんが、花婿さんと一緒に写真を撮っていました。今は気候もいいので、結婚式をあげるカップルが多い時期なのです。ハートの風船を持ったお父さんは「今日うちの娘が結婚したんだよ!」と私たちにも話しかけて、本当に嬉しそう。
2日かけて首都モスクワを目指しますお昼前にクラスノヤルスクを出発し、昼食からは再び食堂車で召し上がっていただきます。今回の列車のコックさんは、今までで一番の料理上手!ロシアのデザート・ブリニュイ(クレープ)やじゃがいもとキャベツのピロシキを作ってくれました。ガイドさん曰く、狭く不便な列車の調理場でピロシキなどを作れる人はそんなに多くないとのこと。素朴な家庭料理を、美味しく作ってもらい、シベリア鉄道の旅の良い思い出の一つとなりました。
クラスノヤルスクから乗車して2日目になり、昼食を終えると後は、モスクワ到着への準備に取り掛かります。ついにウラジオストクからの9288kmの旅が終わるのです。エカテリンブルグという町を過ぎて30分ほどすると、左手の丘の上に白いオベリスクが立っていますが、これがアジアとヨーロッパの境を示している場所です。今まではアジアを走ってきましたが、ついにヨーロッパへ入ったのです。あと数時間で列車の旅が終わってしまうのかと思うと、なんだか名残惜しくなります。きっと多くの方がそう感じていたと思います。「帰りもまたシベリア鉄道に乗って帰りたい!」と仰る方もいましたが、本当にそんな気持ちです。仲良くなった車掌さんや食堂車の人たちと別れるのも寂しいものです。これまでずっと見てきた白樺の森の景色から、段々変わり、車や家、高い建物が次第に目に付くようになってきます。
17時43分、モスクワ(ヤロスラヴリ)に到着です。先頭まで行き、最後の列車との写真、そして、0kmとかかれたキロポストでの記念写真。ついにシベリア鉄道を走破しました!過ぎてみればあっという間だった、鉄道の旅。
どこまでも続く白樺の森や、草原地帯…ロシアの国土の広さを実感しました。今回は春が終わったばかりのシベリアでしたが、夏になると木々ももっと緑色になり、秋になると黄色く色づき、そして冬になると真っ白な雪で覆われます。季節によって色々な表情をみせてくれるシベリアの雄大な大地をすべて見てみたいと思ったのは私だけではないはずです。シベリアにももうすぐ秋がやってきます。いったいどんな美しい景色を見せてくれるのでしょう。(内野)
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