シルクロード大走破~その1:思い出の風景~
まずは、“中央アジアの真珠”と称され、透明度が高いことで知られるキルギスのイシク・クル湖。ソ連時代には外国人の立ち入りが許されず、シルクロードを旅する者なら一度は訪れたいとされていた湖です。今では、湖岸に砂が敷かれてリゾートホテルが建ち並び、夏には国内に留まらず主に欧州からの長期滞在の観光客で賑わいます。私達が訪れた10月末は、ちょうどポプラ並木の黄葉の季節でした。イシク・クルの湖岸を走る道の両側に整然とポプラが植えられていて、大陽の光を浴びて黄金色に輝いて見えました。また、湖の反対側には天山山脈の真っ白な雪山が雄大に聳えています。私達は、既にここまででも1,000km以上陸路移動をしてきましたので、オフシーズンに入り静かな街で、手入れの行き届いた英国風のリゾートホテルの庭や湖岸を散策し、優雅な休日を過ごすことができました。
次に、この大走破の旅を語る上で外すことが出来ないのが“国境越え”の風景です。今回の旅では陸路の国境越えが6回もありました。日本は島国で、日常の風景には国境が存在しませんので、経験の無い方は“国境越え”がどんなものか、想像がつかないかもしれません。例えば、ウズベキスタンのヒワとトルクメニスタンのタシャウズの場合、国境線が引かれる前は自由に行き来ができましたので、自分はヒワに住んでいるけれども、親戚や知人がタシャウズにいるという方もたくさんいます。そこで、2つの街の住民は特別に1ヶ月のうち3日間に限り、査証を取得する事なく国境を越えて街を行き来することができることになっており、ウズベキスタンにお買い物に行っていたのか、ナン(中央アジアの丸いパン)や葡萄などの日用品から大きな絨毯を抱えたトルクメン人を何人も見かけました。入国審査を受ける待ち時間には、重い絨毯を一人で運ぶおばあさんを手伝い、そのお礼にナンを頂いたり、緩衝地帯を走るバスの発車待ちの間、車内で知り合った方と身振り手振りの会話をしたり・・・と地元の方との触れ合いも旅の印象に残る風景の1つとなりました。
25日間という旅行日数は不安を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、今回の「シルクロード大走破の旅」のように陸路国境を越えて行くからこそ実感できるおもしろさもあります。それは、それぞれの国の文化や民族の相違点を自分の目で確かめ、肌で感じ、また、例えばティムール帝国が中央アジアからイランまで版図を拡大したように、歴史的な繋がりも理解しやすいかと思います。ここを通ったティムールも同じような景色を見ていたのかもしれないと、車窓から広大なユーラシア大陸の景色を眺めていました。(鈴木寛子)
| 固定リンク
「アジア情報」カテゴリの記事
- 地上からも上空からもヒマラヤ山脈とアンナプルナ山群を堪能!(ネパール)(2017.12.28)
- 酸っぱいけど甘辛い?カンボジアの「お漬け物」(2017.12.27)
- お釈迦様入滅の地、クシナガルへ(2017.12.15)
- ネパールの生きた女神、クマリにびっくり!(2017.10.20)
- 幸せの国ブータンに幸せを運んだ日本人がいた!(2017.09.07)
コメント