トルコは博物館の宝庫
先日、「トルコ物語15日間」のツアーより帰国致しました。ちょうど季節の変わり目となる10月のトルコは暑さも和らぎ観光日和。というのが理想でしたが、残念ながら地中海・エーゲ海沿岸部は雨天に見舞われたツアーでした。
しかし、ご心配はいりません。今回のツアーでは博物館の観光が合計7箇所もあり、天候を気にせずにゆっくり観光できたからです。トルコが位置する小アジア半島は古くはメソポタミア文明の強国であるヒッタイト帝国、ギリシャ人の植民、ローマ帝国そして後のビザンツ帝国、最後にはオスマン帝国など民族と文明交流の舞台として栄えてきました。
そのため、各地の遺跡から発掘された出土品はどれも貴重で歴史的価値が高いものもさることながら、それぞれ博物館の特徴も異なっているので少しも飽きることはありませんでした。
今回はその中でもお勧めの博物館を2つご紹介致します。1つめはトルコ最大のギリシャ・ローマ遺跡であるエフェソス遺跡からの出土品を主に展示しているエフェソス考古学博物館です。
こちらの見所は写真にもあるアルテミス神の大理石像です。詳しく観察してみると女神の体には小さな動物のレリーフや、卵にも乳房にも見えるようなコブがたくさんついています。これは豊穣を願う土着の地母神信仰にヘレニズム文化が融合して出来上がったものなのです。かつて、この博物館の近くにはアルテミス神を祀った巨大な神殿がありましたが、現在は柱一本残るのみになっています。しかしその反面、古代への想像があれこれと膨らみました。
2つめは地中海沿岸のリゾート地アンタルヤにある考古学博物館です。ギリシャの植民市がたくさん築かれたトルコの地中海・エーゲ海沿岸地域からは膨大な数の大理石像や石棺が発掘されました。博物館内のギリシャ神話の神々の像がずらりと並ぶ様子は圧巻です。
ギリシャ神話に詳しい方はもちろんのこと、そうでない方も十分に楽しめる博物館です。
さらに、今回は幸運なことに異国の地から戻ってきたばかりのへラクレス像を見ることができました。このお話は1980年、アンタルヤ近郊のペルゲ遺跡からヘラクレス像の下半身だけが発掘されたことから始まります。盗掘されたヘラクレス像の上半身は長らく行方不明となっていましたが、ある日ニューヨークのボストン美術館でその上半身が見つかったのです。アメリカ合衆国とトルコ両国の間で丸4年の話し合いの結果、今年の9月に返還されることが決まったヘラクレス像は修復によって1800年前の輝きを取り戻していました。元あったところに戻ることの喜びをご参加の皆様全員で感じたツアーでした。(小畑)
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