サンティアゴ・デ・コンポステラ 修道院クッキー探訪
「ル・ピュイから聖地サンティアゴへ」のツアーより帰国しました。
10月といえば巡礼ピークシーズンの終わりの時期ですが、穏やかな天気に恵まれ、和やかな旅を楽しむことが出来ました。
サンティアゴ・デ・コンポステラといえば威風堂々たる大聖堂が印象的。でも本日は大聖堂ではなくその隣にある女子修道院について語りたいと思います。サンティアゴ大聖堂の東側に建つこの女子修道院は『サン・パイオ・デ・アンナ・アルタレス修道院」といい、ベネディクト会の厳しい規律に従って修道女の方々が暮らしています。特別な用が無い限りは外に出ることも禁じられており、また、無駄な会話も禁じられているそうです。
修道女の方たちは日々の祈りの他に労働に従事する時間を持ちます。その労働のひとつがクッキーを焼くこと。サン・パイオ・デ・アンナ・アルタレス修道院が造るクッキーはサンティアゴの隠れ名物土産です。このクッキーを手に入れる場所は、サンティアゴ初めての人にとっては見つけるのがとても難しく、かつ売っている時間も数も限られているのでチャンスを逃さぬよう頑張らねばなりません。
修道女のクッキーは一体どこで手に入れることができるのか。大聖堂とキンターナ広場を挟んで向かい合うように建つ修道院、その入り口は広場とは反対側にあります。大聖堂のすぐ側とは思えないとても静かな通りに面した入り口、そのホール(?)のようなところの壁に鉄格子のはまった窓があります。鉄格子の向こう側の窓はガラスではなく、ぴったりと雨戸のような扉が閉まっています。まさかその扉がクッキー売り場の窓口として開くとは、ちょっと見ただけでは、いや、近くに寄って見たとしても絶対に分かりません。事前の情報が無ければ、100%見つけられないでしょう。
事前の情報があっても「本当にここなのだろうか?」と信じられない気持ちになります。それでも、他に修道院の入り口と思える場所はどこにも無く、何度も通りを往復してみて「やっぱりここ以外にには考えられない…」と半信半疑、ドキドキしながらもう一度鉄格子に近づきます。よくよく見てみると鉄格子の横になにやらボタンのようなものを発見。押していいのだろうか?何も書いていないけれど、勝手に押してしまっていいのだろうか?暫く逡巡した後、思い切って押してみることに。すると、鉄格子の向こう側、固く閉ざされていた雨戸がスゥーっと開くのです。薄暗い玄関ホールとは違い、窓の向こうには光が溢れ(蛍光灯)、その光の中で清楚な美しさに輝く修道女が微笑んでいます。突然のシスター登場に狼狽しながらも「ク、クッキープリーズ…」と恐る恐る訪ねてみと、手ごろなサイズの箱にぎっしり詰まったクッキーが鉄格子のしたからすすす…と差し出されます。ちなみにサンティアゴ名物のアーモンドケーキも買えます。
添乗の時、この修道院クッキー窓口にお客様をご案内すると、皆様必ず「まさかこんな場所に…」と驚かれます。この秘密めいた雰囲気が、修道院クッキーを手に入れることができた満足感をより一層充実したものにしてくれるのです。(宮澤)
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