2012年1月26日 (木)

モザイクの小石が描き出すもの

今年の年末年始はチュニジアへの添乗でした。2010年の12月、チュニジアの小さな地方都市でおきた青年の焼身自殺から始まったチュニジアの革命、そしてそれに続く北アフリカの独裁国家の崩壊。2011年、北アフリカは大きく揺れたわけですが、その揺れもひと段落したチュニジアに久しぶりに訪れることが出来ました。

Sabaku チュニジアは相変わらず見所満載の国でした。最初に、伝統的な旧市街の残る聖なる都カイラワンの観光から砂漠へ向かいます。懐かしい砂漠の風景を目にしながら、私が楽しみにしていたのは「モザイク」です。

 モザイクとは天然石の色を上手に使いながら小石で絵を描いていく古代に発展した床Mozaiq の装飾技術です。
石の天然色をそのまま利用していたため、発掘され、水で洗い流すと、当時の美しさがそのまま浮かび上がってくるわけです。

古代ローマでは裕福な家では細かな石を用いて、とても写実的なモザイクが床を彩っていたようです。


Hekiga チュニジアにはそんな、古代ローマ時代の美しいモザイクが豊富に残っています。細かな石で組み合わされたその画面は遠くから見ると絵画のようです。
神話のモチーフだけでなく野菜や魚、狩りの獲物など新鮮な食材や人気アトラクションだった剣闘士、みずみずしさがあふれ出すように描かれた日常を題材としたもの等、見ていてあきません。




古代ローマ時代豊かな生活を肌で感じられるモザイクは意外なことに?チュニジアで保存Bardo_2 状態のよいものが多く発見されています。私のお気に入りの海の神、ポセイドンのモザイクは、真近で見なければ一瞬、石で出来ていることすらを忘れてしまいます。

革命が起きても、新しい大統領が登場しても、チュニジアの昔ながらの文化遺産は損なわれることはありませんでした。チュニジアにとって、過去の文化遺産は大切なチュニジアの歴史であり、デモを行っているとき、警官と市民との衝突のときですら、文化遺産は大切に守られていました。

いま、チュニジアで大人気の話題は「政治」だそうです。今までの「言っても無駄」な政治体制に対し、皆で声を上げて変えることができたというのが、大変誇らしいのだとか。私もガイドさんからたくさんの革命にまつわるお話を伺いました。チュニジアでは今回の革命を「自由と尊厳」の革命と呼んでいるそうです。今まで見失っていた「自由と尊厳」を回復できたからなんだそうです。

チュニジアはモザイクのような国といわれます。これは、一つ一つのピースがしっかりした色を持っているけれども、離れてみると一つの物を描いてるモザイクの石とチュニジアの様々な文化や歴史、宗教をモザイクの小石の一つに例えて、この国の文化や歴史の多様性をうまく表しています。これら全てが組み合わさって、「チュニジア」というモザイクが描かれているわけです。


今回の革命という、一つの小石が新たに加わったチュニジアは、今までの路線から新たな道へ進みだし、新しい歴史の第一歩を踏み出したばかりです。

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