きっかけは失業対策!?グレートオーシャンロード
先日、ユーラシア旅行社の「オーストラリア物語 15日間」の旅から帰国いたしました。南半球に位置するオーストラリアの季節は日本と間逆。秋の足音が聞こえてくるちょうど良い季節の大地を、贅沢にぐるりと一周ご案内させていただきました。
今回の旅のハイライトのひとつが、グレートオーシャンロードと呼ばれるドライブコースです。オーストラリアの南東、ヴィクトリア州の沿岸を走る全長約280キロメートルのこの道路、建設開始は第一次世界大戦が終結した1919年のこと、建造の主な目的はなんと失業対策です。戦争から帰って来た荒くれ男どもを職も無いまま社会に放り出すと何をするかわからない・・・と思ったのかどうかは知りませんが、とにかく彼ら帰還兵の雇用創設のために計画は実行に移されました。いかに体力自慢の作業員達とはいえ、工具はツルハシ・スコップ・ダイナマイトだけだったというから驚きます。完成は1932年、実に13年の月日を要した大事業でした。
現在では地元オーストラリアの方々が週末に訪れるリゾートとして栄えるこの道路。サーファーの集まる美しいビーチ、野生動物の住む林の中、海に浸食され複雑に入り組んだ絶壁と奇岩群と次々に装いを変える車窓風景にまったく飽きる暇の無いこのドライブコースは、世界各国の自動車メーカーがこぞってCM撮影に訪れる場所としても有名です。
途中、何か所もあるビューポイントの中で私の一押しは「ロックアードゴージ」と呼ばれる場所、1878年に移民船ロックアード号が目的地眼前に沈没したという悲劇から命名された景勝地です。乗客乗員54名のうち、助かったのは運よく浜辺に打ち上げられた18歳の水夫見習いトムと17歳の移民エバの2名だけでした。先に気が付いたトムはエバのために、街灯も無い暗闇の中5キロメートル以上歩いて民家に助けを求めたといいます。その後少年と少女は恋に落ち・・・となれば素敵なハリウッド映画になりそうですが現実はそう甘くは無く、トムは再び水夫に戻り、エバは故郷の親類のもとに戻り、生涯再会することはなかったそうです。
時に牙を剥き多くの人々の命や夢を飲み込んだ海ですが、今日はサファイアブルーの輝きで穏やかに波を送っていました。
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