ヨルダンの穴場、ジェラシュ遺跡
ジェラシュはヨルダン北部にあります。全土の80%が土漠であるヨルダンにおいて、今も緑が豊かで水の潤いがある土地です。だからこそ、古来より人が定住してきたのかもしれません。
さて、バスが町に入ると突如遺跡が現れ、車内から大きな建造物が見えます。これはハドリアヌス帝の凱旋門と呼ばれており、彼がこの町を訪問した記念に建てられた門です。ハドリアヌス帝はローマ帝国領土の安定維持のために視察旅行を行った人で、当時帝国内でも最東に位置したこの地にもやってきたのだそうです。ちなみに、「テルマエ・ロマエ」という映画が公開中ですが、劇中で俳優の市村正親さんが演じている人物もこのハドリアヌス帝です。
遺跡に入ると、2千年前の町が目の前に現れます。厳しい太陽の光を避ける為に北向きに作られたとされる劇場、長方形が一般的な中で珍しく楕円形の形をした公共広場、美しく装飾された柱が並ぶ真っ直ぐなメインストリート、4世紀以降に再建された教会に残る美しいモザイク等々。どれも保存状態がよく、見ごたえ十分です。また、展望ポイントからは町の様子が一望でき、2千年前の町づくりの様子が手にとるように分かるのもジェラシュの魅力のひとつです。
最も驚かされたのは、この町の守護神・アルテミスを祀った神殿の建築方法。予め、柱が揺れるように設計されているのです。実際に柱に体重をかけると、僅かに動きます。この構造は、地震で建物が崩壊するのを最小限に食い止めるための工夫だったそうで、いわば、ローマ時代の“免震構造”。現代でも、高層ビルなどに同様に技術が使われていることを思うと、「2千年前から基本は変わらないのか!」と感嘆しきりでした。
ジェラシュの遺跡は、未発掘部分がまだ7割以上もあるそうです。ですが、目に見えるのがたった3割でも、ジェラシュが“中東のポンペイ”と形容されるのが分かる気がする、そんな遺跡です。ヨルダンはペトラだけにあらず、今後もっと注目度が上がるはず!と個人的に大いに期待しています。
そういえば、今日6月8日はサッカーW杯アジア最終予選のヨルダン戦ですね。もちろん日本代表を応援したいのですが、ヨルダン代表に注目したい気持ちも・・・複雑な心境でテレビに向かうことになりそうです。(江間)
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