人を惹き付ける小さな村、オーバーグルグル
先日、「ドロミテ街道とオーバーグルグル10日間」の旅から帰国しました。
イタリアのヴェネチア空港から始まり、運河の街トレヴィーゾ、ドロミテ山塊のコルティナ・ダンペッツォから雄大な雪山を眺めながらドロミテ街道を走り、ボルツァーノ、オーストリアのオーバーグルグルなど美しいチロル地方の山間村を巡り、スイスのサンモリッツまで、夏のチロル・アルプスを巡るコースです。
このコースのハイライトの一つが、ユニークな地名の「オーバーグルグル」。
ツアータイトルにも載っていますが、この不思議な地名を見て聞いただけで、思わず「おやっ?」と興味が湧き、行ってみたくなるような響きがあります。
オーバーグルグルはオーストリアのチロル地方にあり、エッツ渓谷の谷間に佇む村です。
6月から9月までの短い夏期は山岳トレッキング、最も長い10月から4月までがメインのスキーシーズンで小さな村が観光客で賑わいます。
夏の季節でも標高3000M近い周辺の山々には氷河や残雪があり、日中の晴天が続くと解け出した雪が無数の流れとなり、岩肌を伝って流れる「チョロチョロ」という小さな音があちこちで聞こえます。一つ一つの小川の音は小さいのですが、周辺の無数の流れの音が重複し、更に日中から夕方頃にかけて雪解けの水量が多くなってくると、渓谷に反響し合い、遠くから響く地鳴りのように低く、重たそうな
「ゴォォォーッ」という水の音が谷間に絶え間なく響いています。
実はこれが「~グルグル」という珍しい地名の由来。
周辺には「~グルグル」といった地名がいくつかあるのですが、「ガーグル」という水が喉を流れる音(うがいの音)が転じて「グルグル」となったようです。
ハイキングは標高1930Mの村からゴンドラでで2653Mの頂上まで一気に登りま
す。展望台からはぐるりと360度のパノラマ。周辺3000M級の山々の連なりや頂上付近に残る氷河、残雪などが一望できます。歩き出す頂上付近の草地にはまだ一部雪も残っており、冬眠から目覚めたばかりのカエルがピョンピョン飛び跳ねています。標高によって自生する野花も異なり、初夏の雪解け後に始めて咲く小さな野花、特に密集して温度を保ち、過酷な自然環境に適応しながら咲いている野花には感心しました。少しずつ標高が下がってゆくと、道端でハイカーを励ますように小さなリンドウ、雪が積もらない斜面を選んで群生する赤いツツジに似たアルペンローゼ、湿った場所を好む白いワタスゲの群生地、樹齢800年の老木マウンテンパイン。山の植物もつぶさに観察してみると中々個性的です。そして更に山を下り、牧草地のバターカップは満開です。緑の牧草地が半分ほど黄色に染まり、この上無い牧歌的な雰囲気が印象的でした。
ハイキングを終え、部屋の窓を開けて耳を澄ませているといつまでも、遠くから「グルグル」という水の流れる音が聞こえていました。(上田)
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