ヨルダンでラマダン
「暑い」、口を開くと決まって最初に出る言葉。最初どころか終始つぶやいていたような気もします。「暑い時に暑いと言ったら更に暑く感じるのですかね?」「いや、少しは暑さを頭に言い聞かせ体を納得させるかもよ?」など、しばし暑さについてそんな取り留めのない話をしていたような。
先日、ユーラシア旅行社「ヨルダンの至宝ペトラと聖地エルサレム 9日間」のツアーより帰国しました。この時期の中東の暑さは半端ではない。しかし、少し涼しいシーズンよりずっと他の観光客の方が少ないという良い面もある。日本と違い湿気のないジリジリと照りつけるような、焦げてしまいそうな暑さは中東でしか感じることができない。だからこの暑さもこの地域ならではと思えば、旅行の思い出の一つとなりました。そしてこの暑さの中、7月20日よりイスラム世界ではラマダン(断食月)が始まりました。ラマダンはヒジュラ暦(イスラム暦)で行われているので、毎年11日ほど早まります。よって年々その時期、季節も変わるわけです。今年はちょうどオリンピックとも重なったことからニュースなどでも話題になっていましたが、ラマダン中は日の出から日の入りの時間まで一切の飲食を控えます。よって、日の長く暑い夏は冬に比べきついのでは?と考えてしまいます。
ラマダンが始まるのは新月の始まりを見届けてからで、始まる2日程前からホテルで働く従業員もガイドさんも皆、そわそわ。一日中流れているテレビを食い入るようにチェックしていました。そしてほどなく当初の予定通り7月20日、私たちがヨルダン滞在中にラマダンは始まりました。その日は今回の旅行のハイライトでもあるペトラを観光。40℃近くなる空の下、終日、遺跡を歩き回りました。冷やしていたペットボトルの水はすぐに温まり、まるでお湯を飲んでいるかのよう。それでも私たちは飲めるのだから。。。お昼のレストランで冷たいコーラにありつけた時の幸せったらありませんでした。その中で普通に日常を過ごしている人達ってすごいな、と暑さでボーっとした頭の中で思っていました。観光たっぷり、汗もたっぷりかいてホテルへと戻ると、いつも爽やかなホテルの従業員達の笑顔がまぶしい。そんな彼らに、「夏のラマダンは特に大変ですね?」そんな問いに、「大変な事はない。もう慣れているし、貧しくてご飯を食べられない人のことを考えることもできるから」きっぱり言い切る。夕食時にレストランへと行くと、日の入り前の彼らの笑顔はより輝いているではないか。「もうすぐ僕らは朝ごはんだからね」朝4時半~夜7時45分まで何も口にしていない彼らには日の入り後の食事は朝食。「まずは煙草を吸うよ」普段より一層テキパキとレストランではお皿がさげられていきました。
8月18日、1ヶ月のラマダンは終了。日中閉まっていたレストランなども開き、賑やかな日常に戻っているかな?(岩間)
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