2012年8月17日 (金)

太平洋に浮かぶ小さな箱庭、小笠原諸島

先日、小笠原の旅から帰ってきました。
夏の小笠原諸島は真っ赤なブーゲンビリアが咲き、椰子の葉が海からの風に揺られています。ゆるやかな時間の流れの中でのんびりと小笠原の大自然を楽しんできました。ここが東京の一部とは思えないほど、異国情緒は満点。
うっかり、いつもの流れで「小笠原から帰国しました。」と言ってしまいそうです。

Sunset_from_ogasawaramaru_3小笠原群島は約4800~4400万年前に形成されて以来、大陸と陸続きになったことが無く、大小30の島々から成り立つ「海洋島」です。日本列島とは約1000キロ、グアムなどのマリアナ諸島からも約550キロも離れていて、いわば太平洋の孤島です。
現在、小笠原への唯一の交通手段は片道約25時間半のおがさわら丸のみ。
普段はじっくり見る機会の無い東京湾の航行中は、レインボーブリッジの真下をくぐり、巨大なコンテナ船が荷揚げをしている港や明治時代に造られた洋上要塞跡付近を航行し、海上自衛隊・米海軍基地や三浦、房総両半島を遠くに眺めることができます。沖合いにでると目の前には太平洋の大海原が広がります。
大島、三宅島などの伊豆諸島を通過し、時には海中に急降下して魚を獲るカツオ鳥を観察することもあります。また、水平線に沈む夕陽や日の出をボーっと眺めたりとゆったりのんびりの船旅も楽しみのひとつです。

小笠原の島々に人間が立ち入ったのは17世紀も半ばになってからです。Hibiscus_tiliaceus_flower_of_ogasaw
江戸時代に咸臨丸で小笠原にやってきて島を探検した幕府の役人たちの目の前に広がっていたのは、長い長い年月を経てゆっくりと進化していった小笠原固有の野生動物・植物の楽園でした。そしてこの島に人が定住し始めたのはわずか180年前。
今でも手付かずの豊かな生態系を見ることができます。
小さな島には、まるでタコ足のような根を広げる珍しい樹木、「タコの木」をはじめ、鬱蒼としたジャングルでは伸び伸び育つオガサワラビロウやマルハチ(シダ類)や戦時中の廃墟を飲み込んだガジュマルの巨木、南国を想わせる鮮やかな色彩で、黄色から赤色の花に変化するテリハハマボウ(ハイビスカスの仲間)、また民家の軒先にはパパイヤやバナナの実を求めて固有種のオガサワラヒヨドリもやってきます。Boattour_ogasawara_3

そして船に乗れば「ボニンブルー」と言われる紺碧の海を悠々と泳ぐ海ガメ、船の舳先の波に乗って遊ぶイルカの群れに遭遇します。頑張って手を伸ばしたら、イルカに触れることができそうです。

わざわざ時間を掛けて遠くに行かなくても、一歩外に出るだけで間近に野生動植物の営みを観察できるところが小笠原の自然の特徴です。
また、小笠原の父島は日本でも最大級の海ガメの繁殖地でもあります。夏の夜の浜辺では、大きな穴を掘り、涙を流しながら産卵する大きな雌海ガメの姿、運が良ければ孵化したヨチヨチ歩きの小ガメ達が大海原に旅立ってゆく光景に遭遇することもあります。
夜空を見上げると、満天の星空。星がよく分からない人でも天の川だけは一目瞭然。まさに無数の星々が集まった白い川。一見すると雲のようにも見えます。

小さな島にもかかわらず、こんなにも大自然がいっぱい詰まった小笠原。
もう一度、訪れてみたい島のひとつになりました。
(上田)

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