2012年9月19日 (水)

川も湖もビールで出来ているアイルランド

8月に「妖精神話の国・南北アイルランド紀行10日間」のツアーに添乗してきました。

アイルランドはお隣英国と似たパブ文化があり、昔からの人々の社交場であり、コミュニケーションや情報交換の大切な場として現在に至ります。小さな村で銀行、スーパーが一軒でもパブは三軒あるというくらい。そのようなアイルランドを訪れたのなら飲まずにいられない気分にさせられます。ウィスキー発祥もアイルランド(北アイルランド)といわれていますし、黒ビール(スタウト)の代名詞ともなっているギネスビールもアイルランド産です。アイルランドのホテルには必ずバーカウンターがあります。バーカウンターに並ぶビールサーバーやバーテンダーの後ろに様々な種類のウィスキーを初めとしてのお酒が並ぶのはとても絵になります。旅行中は訪れたレストラン、宿泊したホテルの全てでバーカウンターがあり、アイルランドのバー&お酒と密接な関わりを持つ文化と生活を毎日感じられました。

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アイルランドの自然はとても美しく、今回訪れた8月という観光シーズンである夏の季節に行けば新緑のような色の牧草地が車窓に延々と続いて見られます。そこに咲く花は小ぶりのものが多いのですが、群生するハリエニシダやヒースは丘の斜面を黄色やピンクに染め上げ、緑とのコントラストが非常に美しい光景を生み出します。

お酒と自然の話しを出しましたが、アイルランドの美しい自然からもたらされた水は美味しいお酒を生み出します。アイルランドの水はとても綺麗なんだよ、というアイリッシュの人たちの言葉を聞いて、ツアー中に小川や湖を気にして眺めてみました。コングの修道院裏に流れる小川はさらさら水が流れ、透き通る水。でもなんとなく陰が差したような色合い?コリブ湖クルーズのときも、天候が曇りだったから湖の色はちょっとどんより?そして首都ダブリンでは町中を流れるリフィー川。町の中だからか川の水の色は真っ黒・・・。

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話しが違うんじゃないかと思われるのですが、黒っぽい色は汚れからではなく地質からきているものなのです。アイルランドの地層は泥炭層(石炭の成長過程の初期段階のもの)で、その泥炭の色がついたものだから黒いのです。日本でも炭の浄化作用を利用して美味しいお水を売り出していますが、アイルランドではこの泥炭層が水を浄化されているのです。よくよく小川や湖の水を見ればうっすら黒茶色なのですが、なるほど透き通っています。黒い色をしたコリブ湖もラムサール条約(水鳥の生息地として国際的に重要な湿地の保存に関する条約)を結んでいて、クルーズの船長さんも「飲める水だよ」と言っており、水質の良さは確か。

そのような水の色を見て思うのです。赤茶色の川の水がエールビール、黒い川の水はスタウトビール、と。

ダブリンという名前の由来ですが「黒い水溜り」という意のゲール語“ドゥブリン”という9世紀にこの地に町を築いたバイキングがつぶやいたことからきています。ダブリンの町中に流れるリフィー川の色が黒なのは、町の外れにある1759年創業のギネスビール工場からビールが流れている・・・だったら面白かったのですが、先にご説明しました地層と創業年から夢のような話が事実ではなかったと判明してしまい少々残念に思ったりもしました。(高橋)

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