「白いロシア」ベラルーシの思い出
ユーラシア旅行社の「ウクライナ・モルドバ・ベラルーシわくわく夏休み 8日間」より帰国しました。 ウクライナは東欧の中でも、「ヨーロッパの穀倉地帯」として知られている国ですが、その他2カ国についてはなかなか耳にすることはないかと思います。3カ国ともに、21年前の1991年にソ連から独立した若い国。どことなくまだ共産主義時代の雰囲気や、建物も残っています。その中でも特に、旧ソ連を感じさせる国は、世界一美女の多い国として知られているベラルーシです。残念ながら?今回は熟女なガイドさんでしたが、きっと若い頃は美人だったろうなという面影が残っていました。
ベラルーシは、ベラ=白、ルーシ=ロシアという意味を持ち、建国の歴史からもロシアに近い国となります。 そんなベラルーシでの私のオススメは、ポーランドとの国境に位置する最西の都市ブレスト。
鉄道がお好きな方は、もうご存知かもしれませんが、ここで旧ソ連とそこから先(ポーランド~)の線路の幅が変わるところです。ガイドさんによると、旧ソ連は土地が広大なので、貨物も運ぶものが多く、重量に耐えなくてはいけないとのことで、ポーランド以西よりも、85ミリ幅が広いとのこと。車両ごと持ち上げて、車輪を交換するために、長時間この駅で停車しなくてはなりませんが、鉄道好きにはたまらない光景が見られます。(鉄道好きでなくとも見る価値有り?!) 鉄道駅のデザインも、どこかで見たような建物。旧ソ連国には多いデザインの、モスクワ大学を思わせるスタイルなので、あぁやっぱりここもかつてはソ連だったと改めて実感しました。
観光の見所としては、「ブレスト要塞」です。ブレストは旧ソ連時代、「英雄都市」として称えられた都市。第2次世界大戦時、西から攻めてきたナチス・ドイツ軍の侵略を、多くの兵士が命を懸けて食い止めました。その努力もむなしく、ドイツ軍により陥落させられてしまいますが、彼らの功績は今も巨大な石碑となって後世に語り継がれています。 要塞に行くと、まず目に入るのは巨大な星型のモニュメント。このデザインはロシア人によるものですが、その師は何と、日本人建築家の丹下健三氏だったとのこと。近くに行くとなにやら重々しい音楽が流れていますが、ソ連軍の軍歌が聞こえてきます。そして「コツン、コツン」という足音、これは1941年6月22日午前4時の開戦が近づいているという意味だそうです。そこを抜けると、奥にはまたまた巨大なモニュメントが!
一度見たらなかなか忘れることの出来ないインパクトを持つ軍人の像があります。戦いの苦しさに顔をゆがめる兵士の顔、そしてその肩には、祖国を守る重い使命がのしかかるというテーマのもの。青空の中で見た、この像の表情がどこか悲しく、苦悩しているように感じました。その前には、永遠の火が灯され、無名戦士たち魂を弔います。同じように戦争を経験した日本、場所は違えど、忘れてはならない事実がそこにありました。 このブレスと要塞では、粋な演出も行っています。若い子達が軍服を着て、戦車の前で写真を撮っていました。確かに戦争の歴史を知ることも大切ですが、重い雰囲気だけでは心も静まってしまいます。子供達の明るい顔を見ていると、この笑顔の為に、平和な世界をという気持ちになります。
さて、重い話ばかりでは、重い気持ちで話が終わってしまいます。 夜のブレストで是非見て頂きたいのは、ガス塔の点灯式。20世紀の前半に行われていたそうですが、3年前に復活したとのこと。歩行者天国のソビエツカヤ通りのランプは、すべてガス塔が設置されており、日が沈む頃になると一人のおじさんがやってきて、ひとつひとつ灯りを点していきます。このイベントは3年前に再開されてからは、地元の人にも大人気。たくさんの人がおじさんの後をついて歩きます。なかなか素敵な雰囲気です。
なかなか足を向けることのないロシアの隣国ベラルーシ。世界遺産のお城や、可愛らしい旧市街、意外にも見所はたくさんあります。世界一美女の多い国ベラルーシ、その噂は嘘か真か?!(内野)
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