キプロスのモザイクに魅せられて・・・
先日、「南北キプロスを極める 8日間」のツアーより帰国致しました。ツアーで訪れた8月のキプロスは、日本と同様、猛暑で暑い中での観光とはなりましたが、その代わり、アフロディーテが誕生しそうな程、透明度の高い真っ青な地中海や、遺跡観光に相応しい、青空と遺跡を堪能することができ、夏のキプロスの魅力を存分に満喫できるツアーでした。
その中でも、今回は特に印象的であった、「パフォス考古遺跡」にスポットを当てご紹介させて頂きたいと思います。
この遺跡は、紀元前2世紀頃から、紀元後4世紀末までキプロスの都であった町で、規模も大きく、その当時の繁栄振りが伺えます。紀元前3世紀から紀元後2世紀頃の岩盤をくり抜かれた地下墓地群の「王族の墓」や、紀元後8世紀から9世紀に、港を守る為の砦として建設された「中世の城」も含まれていますが、中でも、見応えあるデュオニソスの館についてご紹介致します。
この館は、1962年に農耕作中に発見されたもので、ギリシャ神話をモチーフにした床モザイクが多数発見され、今も尚、美しく良い状態で保存されています。
部屋には、10以上のモザイクがあります。館内で最も古い、「スキーラ」、「ナルキッソス」、そして、入口付近には、客人をまず始めに迎え入れる玄関、更にはレセプションルーム~狩猟のシーン等をご覧頂き、メインとも言える4枚のギリシャ神話のモザイクがありますが、中でも、私が心惹かれるモザイクは、「ダフネとアポロン」です。エロス(キューピッド)の矢を馬鹿にしたアポロンは、エロスを怒らせ、矢を放たれてしまい、ダフネに恋をしてしまいます。逆に、ダフネには鉛の矢が放たれ、アポロンの事が大嫌いになってしまいます。必至に追いかけるアポロン、逃げるダフネ。そして、何としても、アポロンから逃れたかったダフネは、河の神の父に、懇願し、自らの姿を木々へと変えてもらいます。足元から、愛するダフネがみるみるうちに月桂樹に変わっていくのを目の前にしたアポロンを始めとする登場人物の悲しみ、嘆く表情が非常に良く表わされており、臨場感溢れるモザイクで素晴らしい作品だと思います。
その他、プログラムには含まれてはいないですが、アキレウスやミノタウロスのモザイクのあるテセウスの館や、美女コンテストのモザイクのあるエイオンの館等、美しいモザイクが残っています。
キプロスには、あまり知られてはいませんが、以外と歴史のある素晴らしい遺跡がまだまだ残っているのです。更に、綺麗にモザイクが残っているのには圧巻ですし、その当時の人々の色彩感覚や繊細且つ高度な技術にも驚かされます。皆様も、地中海に浮かぶキプロス島の古代遺跡を垣間見てみませんか?(井手)
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