「あと一歩だよ!ヌーの川渡りに遭遇(ケニア・西マサイマラ)」
そしてその200万頭あまりのヌーたちが国境を超えてケニアへ入ってきたと現地から情報が入ったのが7月下旬、私たちのツアーが出発する8月中旬にはまだいるかな、、、と心を躍らせ出発しました。
さて、そんな西マサイマラのこの時期の見所は、やはりその「ヌーの川渡り」です。ムパタサファリクラブ(ホテル)よりマラ川まで約40km。ゲームサファリをしながら、昼前にマラ川の河川敷に到着しました。そこはヌーの川渡りで有名な川幅が狭い場所、ヌーの川渡りを見ようと数十台のサファリカーが渋滞のように川沿いに並んでいました。ドライバーたちが無線で連絡を取り合い、本日川沿いにヌーの大群が来ているというのです。
私たちユーラシア旅行社のサファリカーが到着したのは昼前です。川を目の前にした時の第一印象は、生臭い匂いでした。そして川沿いにはハゲタカ、ハゲコウの数十羽、いいえ数百羽待機している異様な光景。そして川を覗き込むと数匹のナイルワニ。そしてよく目を凝らすと、何頭もの細い動物の足が川から上空に突き出ているではありませんか。ここは地獄か!?と思わせるシーンを前に、奥に目を向けると数千頭はいるのではないかというヌーが川を前に止まっています。
そうです、川から出ている細い動物の足は全てヌーたちの死骸でした。川にはヌーが川に渡る瞬間を待ちわびるナイルワニたち。彼らがヌーという食事にありついた後、残飯を狙うハゲコウたち。ここは彼らにとって食卓なのです。ヌーたちは、川べりで立ち止まりまだ一頭も渡っておりません。一番先頭の勇敢そうにも軟弱そうにも見えるヌーが、川をじっと見ています。後ろからは数百頭の大群が先頭のヌーたちを押しています。どんどん多くなるヌーの群れ。いつ渡るのだろうか、、、私たちのサファリカーも30分は待ちました。
すると次の瞬間!先頭のヌーが川を渡り、矢継ぎ早に次々とヌーたちが川を渡り始めました。時にはシマウマが混じっています。一度始まると止まりません。黒い集団が川を埋めつくしていきます。砂埃が生々しく空に蹴上がります。
彼らは数千年、数万年の前から、毎年この時期になるとマサイマラに青々と茂る草を求めて川を渡っているのでしょう。草を求めて1000kmを超える大旅行です。川では何頭もの仲間がワニにやられ、時には後ろから渡ってきた仲間に踏まれ圧死し、潤った草を求めて死を恐れず激流を渡ります。アフリカの壮絶なドラマ、人間が止めてはいけない生命のサイクルに出会った瞬間でした。
翌日、マサイマラでサファリをしていると、高く茂るWILD RED OAT (カラスムギ)を美味しそうに食べるヌーの大群に出会いました。頑張って川を渡ってここまで来たんだね、お疲れ様でした、と声を掛けたのは言うまでもありません。(坂岸)
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