知床のヒグマたち
ところで、この年の夏、餌不足が原因でクマが街中に現れたというニュースが日本各地から届きましたが、知床のヒグマも例外ではなかったようです。そして、テレビでも報じられたのが、ガリガリに痩せたヒグマの姿でした。ガイドさん曰く、クマってこんなにスマートだったっけ?というほどの痩せ具合だったようです。しかし、秋になるとドングリが豊作だったそうで、私たちが訪れた時分は、冬眠にむけてヒグマ達がドングリをたくさん食べ、丸々としてきたところでした。もちろん、ヒグマにばったり出くわしたら大変なことですので、知床の森のハイキングのときは、ヒグマの気配に注意を払い、ヒグマと人間がお互いうまく避けることができるように用心深く歩きます。
しかしながら森の中ではヒグマの姿が見えなくとも彼らの息遣い感じることはできます。足跡だったり、フンだったり、木の幹につけられた爪跡だったり。今回、私が一番驚いたのは、冬眠の穴でした。見た目は意外と小さいのですが、奥行きがあり、なかなか快適そうな家でした。母熊は、冬の間、この穴で赤ちゃんを産み育て、春が訪れた時、子熊と一緒に顔をだすそうです。このようにヒグマ達が実際に生きている森を体験できるのもネイチャーガイドさんと一緒に歩くからこそでしょう。森の中で新しい扉が開くように、普段は見過ごしてしまいそうな色々なものが目に入ってきます。
旅の最後に見学したのは、サケの遡上でした。大海原を回遊し、生まれた川に再び戻ってきて卵を産んで息絶えるサケの群れ。メスは最期まで自分の卵を守るそうです。命の営みをまざまざと見た瞬間でした。そして、サケはヒグマたちの最大のご馳走にもなります。栄養をたっぷり取ったヒグマ達は安心して冬眠に入ることでしょう。そろそろ穴を掘っている最中かもしれません。ヒグマたちに思いを馳せる今日この頃です。(大西)
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