2013年3月21日 (木)

椿の島、五島列島にいってきました (日本)

Camellia五島列島より帰ってまいりました。「五島列島」と聞いて、何をイメージされますでしょうか?長崎の先に浮かぶ五島列島は、関東に住んでいますと、日本の最果ての地のように感じます。そう、たしかに五島列島は、日本でもっとも西の果てに位置しています。裏を返せば、世界へ開かれた日本の西の玄関口ともいえる島です。遥か昔、唐の長安を目指した遣唐使が日本で最後に寄港した島であり、彼らが日本に帰国した際は、最初に土を踏んだ場所でもあります。今回、五島列島を旅し、遣唐使ゆかりの港や入り江が多く残されており、改めて日本の歴史の一端に触れた感じがしました。

また、最近、五島列島で注目を浴びているものは「椿」です。某シャンプーにも五島列島産の椿が使われていますので、ご存じの方も多いでしょう。3月初旬は椿の花は盛りをやや過ぎていましたが、山にも町中にも民家の庭先にも多くの椿が咲き誇り、「椿の島」であることを実感しました。

Churchさて、「五島列島」と一口にいっても大きく二つに分けられます。上五島と下五島です。それぞれ山と複雑に入り組んだ海岸線が風光明媚で、ドライブしているだけで心が洗わるような気がします。しかし、長崎からさらに離れ、人と人の往来も難しい複雑な地形だからこそ、江戸時代、隠れキリシタンの人々にとっては住むのに格好の場所だったのでしょう。そして、禁教令がとけた明治初期、堰をきったように多くの教会が島のあちこちに建てられたのでした。今は寂れた漁港に、奥深い山中に、何もない浜辺に、港街を見下ろす高台に、民家が数戸の村の中に、「ここは外国かしら?」と思うほど沢山の教会がありました。そして、その大部分は今も現役なのです。特に、漁船がつながれた港に面して、瓦屋根の日本家屋に白い洋風の教会が溶け込んでいる様子は、エキゾチックでありながら、不思議と落ち着いた違和感のない光景で、心に深く焼きつきました。
また教会内部では、ステンドグラスや壁の飾りに四弁の赤い椿をモチーフにしたものが多いのが印象的でした。五島で一番身近な花である椿は、教会を飾るのに最もふさわしかったのでしょう。通常、椿の花は五弁ですが、十字架を象徴して四弁のモチーフだとか。

今回訪れた教会の中で、私が忘れ難いのは、奈留島の江上天主堂です。日本人棟梁として、五島で多くの教会を手掛けた鉄川与助氏の作品の一つです。白壁に木を多用したリブヴォールト天井ですが、それは教会という枠をこえて日本人の感性で生み出された空間のように思えました。凛とした佇まい、細部まで行き届いた気遣いなど、鉄川氏と教会建築に携わった人々全ての想いが静かに伝わる、至高の建築でした。添乗というお仕事で、今まで多くの教会を訪れる機会を頂きましたが、涙が自然に溢れるぐらい心が揺さぶられたのは初めての経験でした。

五島列島を後にし、今度は全ての教会を巡ってみたいと思いました。(大西)

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