自然に感謝!中央アジアのグルメ事情
「食事が美味しい旅行先は?」ご一緒するお客様から幾度となく、こんな質問を受けてきました。旅行先を選ぶ決め手になるものは、その国の雰囲気や訪問するシーズンなど、きっと人それぞれ。その中でも「食事」は大切な決め手の一つとする方も多いでしょう。
先日、ユーラシア旅行社の「中央アジア大周遊17日間」の添乗より帰国致しました。中央アジアの食事と聞いて、パッと想像できる人はそう多くはないはず。主食は何?イスラム教の国だからラムが中心なの?お腹を壊しやすいと聞いたけど・・・?添乗員として同行する際、よくこんな質問を頂きます。一般的にはまだまだ秘境と思われがちな中央アジア、食事も一体どんなものが出て来るのか心配な方も多いようです。でもご心配なく!中央アジアの食事は日本人の口にも合うものばかり。ウズベキスタンでは前菜のサラダの種類も豊富で、お肉料理が多い中、野菜もしっかりとれるのです。今日は数ある私の好きな中央アジアの料理の中でも、一押しをご紹介します。
中央アジアのお祝い事には必ずこのプロフがテーブルに上ります。日本でいう「ピラフ」です。たっぷりの油とお水でお米を炊いて、具材には人参、仕上げに牛肉をのせて完成です。干しブドウの甘味やスパイスの旨味が人参に染み込んだ、出来立てアツアツをいただきました!まだ冬が明けない寒いウズベキスタンで身も心もホカホカになった一品です。プロフで使用する油は日本ではあまり馴染みの少ない「綿花の油」。だからこそ、特別な美味しさがあるのかもしれません。
羊肉の串焼き「ケバブ」の中央アジア版です。イスラム教徒の多い中央アジアでは豚肉をあまり食べません(戒律はそんなに厳しくないため、稀に食卓に上ることはあるそうです)。広大な牧草地で羊や牛を放牧している場面を何度も車窓から見ました。のびのびと草を食んで育った、カザフスタンで食べた羊のお肉は一切の臭みがなく、脂がのったとても柔らかいもので、上質なビーフを食べているかのようでした。レストランの軒先でジュージューと焼かれたシャシリクの芳ばしい香りに釣られて、ついつい今日も「シャシリク!」とオーダーしたくなる程でした。
中央アジアの主食はお米でもなく、パンでもなく、このナンです。「ナン」と聞くとインドで出てくるモチモチした、長~い形を想像しますが、中央アジアのナンは一味もふた味も違います。ずっしりとした重さにまるでフランスパンのようにしっかりとした噛みごたえ。ほんのりしょっぱくて、メインの前に出された焼きたてのナンを食べすぎて、もうお腹がいっぱい!という事もしばしば。町では自転車の籠いっぱいに焼きたてのナンを乗せているナン売りの人とよくすれ違いました。都市ごとに大きさも香りも模様も様々なのが特徴ですが、中でもウズベキスタンの古都、サマルカンドのナンは有名で、昔、ブハラの王がサマルカンドのナンに感銘を受け、材料をすべてブハラに取り寄せ作ってみたが、同じ味にはならず、結局サマルカンドのナンの味の決め手は、サマルカンドの空気だということになったという逸話も残っている程です。ぜひサマルカンドを訪れた際には、焼きたてホカホカのナンをお試しください。シンプルな味の中に大地の恵みを感じるはずです!
美味しい料理の元となる様々な食材は、この中央アジアの広大で豊かな大地が育んだもの。今回はキルギス、カザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタンの国境を自らの足で越え、約4400キロにも及ぶ道のりをバスで走り抜けました。色鮮やかな花々や夏になれば青々と茂る綿花や小麦の畑、悠々と草を食む家畜とそれを見守る人々、こんな景色を車窓から眺め、普段なかなか気付かない、美味しい食事を食べられることのありがたさを改めて実感しました。(三橋)
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