大コーカサス山脈の懐、スワネティ地方を訪ねて
先日、「大コーカサス山脈の懐スワネティ地方とコーカサス三国物語 16日間」より帰国致しました。コーカサス山脈に抱かれた、アゼルバイジャン、グルジア、アルメニアの三ヵ国をバスで大横断。
車窓からの4000mを超える山々は、季節ごとに顔を変え、何度行っても見入ってしまいますが、この時期は格別です。
ポピーやデイジーなどの野花が咲き乱れ、野原を美しく彩ります。
首都は他のヨーロッパ都市と変わらず、お店が立ち並び、多くの人や車が行き交いますが、少し郊外に出ると、牛やヤギ、豚が草を食むのどかな風景。
のんびりした田舎町では、車の通る道路でもお構いなし。道路の真ん中でぐっすりお昼寝中の牛にクラクションを鳴らしながら、バスは、大コーカサス山脈の懐スワネティ地方へ。
針葉樹や広葉樹の混じった深い森林、峡谷に囲まれた地で、「神様の庭」とも呼ばれるこの地域は、神様に守られてきたとされ、侵略や破壊を受けることなく、独自の慣習や文化を守り続けてきました。
今回は、1996年、世界文化遺産に指定された上スワネティ地方にあるウシュグリ村を訪れました。
スワネティ地方の中心メスティアから、四駆に揺られること約3時間。積雪の残る大コーカサス山脈に囲まれたようにひっそりと佇むウシュグリ村に到着しました。スワネティ地方の村々ではニョキニョキと立ち並ぶ、塔の家が特徴的。塔の家が立ち並ぶユニークな光景はまるで桃源郷のよう。
スワネティ地方に住むスワン人は、家族の仲間が殺されると、復讐のために相手を殺害するという氏族間の復讐制度がありました。どちらかの一族が絶滅するまで続けられたという恐ろしいものでした。その復讐から身を守るために建てられたのが、今ではスワネティ地方のシンボルとなっている塔の家です。一族はもちろん家畜も非難したのだそう。現在は禁止されていますが、20世紀まで、この復讐が続いていたとういから驚きです。現在は、倉庫や廃墟となっている塔がほとんどですが、決して取り壊すことはしないのだそう。
私たちにとってはなんと恐ろしい慣習と思ってしまいがちですが、彼らにとっては家族を守るための大切な建物であり、一族の力を象徴するものでした。そして、スワン人の誇りなのだと語ってくれた村の方々。
村を散策すると、「家の中見ていってよ」とか、「お茶していきなよ」とフレンドリーに声をかけてくれます。
廃墟となった塔に入らせてもらいました。
身を守るために建てられた塔なので、足場は悪く梯子を上って行きました。見張り窓から眺める景色はまさに絶景!「神様の庭」と呼ばれるのも納得です。(丸谷)
>グルジアなどコーカサス三国ツアーの魅力はこちら
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