コソボ旅行 ~復興めまぐるしい現場レポート~
先日、ユーラシア旅行社の「コソボ、アルバニア、マケドニア世界遺産紀行 9日間」より帰国しました。コソボ…果たして旅行ができるのだろうかと思われがちなこの国について、紛争中の面影が殆ど残っていない復興のスピードめまぐるしい現状をレポートしたいと思います。
首都プリシュティナに飛行機で深夜に降り立って街の中心地にあるホテルに着いたとき、ホテルの前にある並木通りは、夜にも関わらず大勢の人々がまだ出歩いていました。物騒な雰囲気などではなく、とても穏やかな様子で。翌朝、その並木通りを歩きながら観光をすると、昼前だというのに、やはり多くの人々が出歩いていて、通り沿いに建ち並ぶカフェはどこもかしこも人々で溢れかえって、穏やかに、のんびりと過ごしているように見受けられました。現地ガイドさんはコソボの現状を一生懸命に伝えてくれます。今は国連軍や欧米の軍隊の警備のおかげで、日々安心して暮らせているということ。国連機関の援助のおかげで2008年の独立宣言以降、インフラ整備がものすごいスピードで進んでいるということ。確かに、紛争があった地によく見られるような弾痕のようなものは、辺りを見回していても全く見つかりません。道路も本当にきれいで、快適にドライブができるし、街の至るところで修復工事が行われています。ひとつ気になるのは、昼間からお茶をしている人の多さ、です。ガイドさんの話によると、コソボは急速に復興しつつあるけれども、まだ労働環境までは手が行き届いていないようで、現在の失業率はなんと約45%です。海外に出稼ぎに出ている家族からの仕送りが、コソボの人々の生活を支えているのだそうです。
さて、プリシュティナの並木道は本当に穏やかで、アルバニア人(コソボの約90%がアルバニア人です)の英雄で中世に活躍したスカンデルベグの騎馬像があったり、同胞のマザーテレサの像があったり、水量が変動するモダンな噴水があったり、普通のヨーロッパの街と何ら変わりない光景です。宗教関係では、セルビア正教やカトリック教会もありますが、イスラム教徒が多いためにモスクが一番目につきます。それ以外の建物で珍しいものと言えば、「国家図書館」です。鳥の巣をイメージした建物のようですが、とにかく風変わりな建物で、以前、イギリスの新聞社が発表した「世界で最も醜い建築物」の第4位に堂々ランキングしているのです。醜いかどうかはさておき、一見の価値ありの、ユニークな建物であることは保障します。
観光という観点から見ると、セルビア正教の修道院は見応えがあります。例えば、プリシュティナ近郊にあるセルビア人の街グラチャニツァに残る修道院は、内部の壁面に14世紀にびっしりと描かれたフレスコ画が残されています。撮影禁止なので内部をお見せすることができずに残念ですが、ところどころにダメージを負ったままの状態がまた歴史を感じます。コソボはセルビアとは敵対関係にありますが、観光地になっているセルビア正教の建築物に近寄るのに危険な思いをすることもありませんし、セキュリティチェックもありません。国連の警備隊がいますが、張り詰めた雰囲気もなく、シスターが切り盛りする売店も普通の観光地らしく、そんな何気ない穏やかさにいちいち心を打たれたコソボの旅でした。(飯岡)
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