スーダンで迎えた犠牲祭(ユーラシア旅行社で行くスーダンツアー)
先月、ユーラシア旅行社の「スーダン周遊9日間」に添乗で行ってきました。 今回のツアー中に、イスラム教の人々にとっての年間2大行事のひとつである“犠牲祭”があり、スーダンの人々がどのように祝い、どのように過ごしているのかを見ることが出来ました。
犠牲祭とは、預言者アブラハムが息子イシュマイルを神へ捧げるため殺そうとし、その信仰心の篤さを神が認めたことを記念するもので、イスラム教徒の人々は、この日、犠牲の供物(羊・牛・ヤギ)を捧げるため、殺します。その供物は、家族だけではなく親戚、ご近所、貧しい人々の施されます。犠牲祭前々日には、市場で買われていく羊の姿を見ました。
犠牲祭の前日、敬虔なイスラム教徒は断食を行います。遺跡の近くの住居では翌日の犠牲祭に備えての支度をしている様子が垣間見られました。犠牲祭当日の朝は、各家庭で供物の動物が殺され、各家庭で捌き、調理します。またスーダンでは、国外に住んだり働いている人は、この犠牲祭には故郷に帰る日でもあります。日本でいうお盆のようなものでしょう。ちょうどこのような時期にスーダンに滞在しているので、「 何か犠牲祭の光景を見ることが出来ないかな」とガイドさんに相談していたところ、犠牲祭の日に滞在している場所近くにお住いのドライバーさんの友人宅に立ち寄らせてもらえることになりました。
犠牲祭の当日、午前中の観光を終えて、午前11:30頃に訪問したラヴィエさん宅で初めに目にした光景は、朝に屠殺した羊を男性4人でさばいているところでした。綺麗に皮をはがし、肉を様々な部位に上手に切り分けるのは男性のお仕事。まな板も使わず肉を切り分けていましたが、よく切れるナイフで、どんどん切り分け作業は進んでいきました。女性は家の奥にある調理場で炭に火を点け、雑談しながら待っていました。そうした作業の合間、私たちは家の敷地内を見学させてもらえました。中庭では麻袋に詰め込まれたデーツが山積みされ、井戸も近くにありました。家の中は家具らしいものはベッドと小さな机、そして大きな扇風機。とてもシンプルな内装でしたが壁の色は薄い黄色と優しい色合いで、女性の部屋には綺麗な布のカーテンが入口についていました。扇風機は見たこともないメーカー名がついていましたが「この扇風機は良いものだ。日本製だ!」と誇らしげに「MADE IN JAPAN!」を繰り返していました。良い製品は日本製、という意識がスーダンの人が持っていることになんだか嬉しくなりました。スーダンのなかでも比較的裕福なラヴィエさんの家には、たくさんの親戚が集まってきていました。そのなかの一人ラヴィエさんの孫のアヌさんは、「私はリビアに生まれ育ち、初めておじいさん宅に姉弟と来たのよ」と話し「スーダンってとっても良い国だわ!私はここに住みたい!」と嬉しそうにスマートフォンのカメラ機能で姉弟で写真を撮っていました。日本人である私たちの訪問も珍しがり、お互いに写真の撮りあいに応じてくれたりもしました。他にもアヌさんの従兄弟や従兄弟の子供も来ており、全員で20人くらいがおじいさん宅に集まってきていて非常に賑やかでした。敬虔なイスラム国であるスーダンではアルコール飲料の販売・飲酒はしていませんが、このお祭りのときには自家製デーツ(ナツメヤシ)のお酒シャルブートをふるまってくれました。試しにちょっとなめてみるとどろりとした甘--い飲み物で、お客様からは全くアルコールを感じなかったという感想。アルコールを飲まない国のアルコール飲料とはこういうものか、と分かった貴重な体験。
そして訪問してから一時間後、新鮮な羊肉は炭火で炒められ、みんなでいただきました。羊肉は臭みもなくシンプルな塩コショウでの味付けでしたが、お肉のうまみがありとっても美味しかったです。 3時間という滞在で、ラヴィエさんの親族の人との交流と犠牲祭に御馳走を頂けたりと貴重な体験をすることができました。
スーダンの人たちは、ラヴィエさんの親族を含め、とても優しく、親切で、公用語でもある英語で話しかけてくる人もいたりとツアー中、交流を図れる機会が多かったのが印象的でした。(高橋)
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