次期世界遺産候補、ドンラム村を訪ねて(ユーラシア旅行社で行くベトナムツアー)
先日、「ベトナム四都周遊 世界遺産巡りとハロン湾クルーズ 9日間」より帰国しました。ベストシーズンのベトナムを南部のホーチミンから北部のハノイまで大縦断。ホーチミンでは、フランス統治時代の面影残る街を散策、中部では、どこか懐かしさを感じずにはいられない古都ホイアンや世界遺産ミーソンを巡り、北部では霧がかかる神秘的な世界遺産ハロン湾をクルーズ。肝心なところでは、いつも天候に恵まれ、ベストシーズンのベトナムを満喫しました。
ここ数年、ベトナムに行くと毎回感じることは、行くたびに新しい近代的なショッピングセンターや商業ビルが増えていきます。現地では便利になり、生活が豊かになる利点がある反面、ベトナムらしさがなくなってきているという残念さもあります。そんな近代化の波に負けず、北部ベトナムの伝統的な集落を残すドンラム村を訪ねました。
ハノイから約60㎞離れたドンラム村は、中国からの独立を果たした英雄・フンフン王やゴクエン王を輩出したことでも知られ、次回世界遺産候補として有力視されています。2005年に国家文化財に登録され、ベトナム政府をはじめ、日本のJICAや奈良文化財研究所、昭和女子大学の協力で、保存プロジェクトが進められています。普段は、ひっそりと佇む村なのですが、村の古寺は縁日のように混んでいました。ちょうど、旧正月が終わった次の週末ということもあり、古寺はお祈りをする人々で溢れ、路上マーケットはお供え物の花を売る人たちで、普段よりも大盛り上がりでした。
周囲を塀と溜池、水田で囲まれた村々は、昔からラテライトがよくとれ、飴色の壁や稲藁を焚く香りが漂う小道など、どこか懐かしさを感じます。集落にはラテライトの赤茶色の色彩の統一感をもたらしています。路上マーケットでは、村のおばあちゃんが子供たちに飴を売っていたり、週末なので、鶏闘が行われていたりとタイムスリップしたようでした。
今回のツアーでは、村で一番古い家に住むフンさんの家にお邪魔しました。中庭を囲むように建てられた家には先祖を祀る祭壇や、水田に囲まれたドンラム村の名物の餅米粉で作った飴、チェラムを作る工房などがありました。早速できたてのチェラムを試食させてもらいました。飴というよりは、日本でいうお餅のような触感で、甘すぎず、ピーナッツと生姜が香るお菓子はお客様にも大人気でした。スターフルーツなど、果物の木が並び南国の雰囲気が漂う中庭での昼食はレストランとはまた違い、ベトナムの古き良き時代を感じられます。
現地ガイドによると、保存プロジェクトの一番の難しいところは、このドンラム村が、人の暮らす村だということだそう。この村は「生きている村」であるからこそ、村民の住環境保全を一番に考え、時間をかけてプロジェクトを進めていくことが大切だと考えているそうです。つい古き良きものを大切に保存していこうとことに重きをおきがちな都会に暮らす私たちにとって、思考を改めさせてくれた訪問となりました。(丸谷)
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