先住民の聖地ウルル~アボリジニの思い~
先日、ユーラシア旅行社の「オーストラリア物語14日間」のツアーより帰国致しました。南半球に位置するオーストラリア。現在、日本とは逆の秋を迎え、所々では紅葉も見ることが出来ました。
このツアーでは、オーストラリアのハイライトと言われる街はもちろん、「世界一空気が綺麗な場所」と称されるタスマニア、「世界一住みたい街」に例年選ばれている西のパースなどにも足を延ばします。オーストラリアはリゾート地や自然ツアー、またワーキングホリデー先としても、大変日本人に人気があります。そんな中でも、誰もが知っている観光地が「エアーズロック」ではないでしょうか。
エアーズロックは周囲9.4km、高さ340mの世界最大級の一枚岩です。それでも地上には全体の10分の1程度しか姿を現していないというから驚きです!「大地のへそ」とも呼ばれ、その呼び名にも納得のスケールでした!!
知名度が高いものの、あまり知られていないのが、エアーズロックと先住民アボリジニとの関係です。そして、その関係性は深く、アボリジニの人々の精神が存在します。それを今回は少し紹介したいと思います。
「エアーズロック」として日本では有名ですが、先住民族の言葉では「ウルル」呼ばれ、これが正式名称でもあります。そして、ウルルはアボリジニにとっての聖地です。本来、一部の祭司以外は登ることのない岩で、観光客が登山をすることを快く思っていないアボリジニの人々が多くいます。登山口にある看板には「登らないでください」と各国の言語で表示されているので、知らずに訪れた方は、まず驚かれると思います。
ウルルの登山をするにはウルル・カタジュタ国立公園に入らなければならず、入場料が必要です。入場料の一部がアボリジニの人々の生活の糧となっている現実がありますので、観光客がウルルの登山を仕方なく認めているのが現状です。
アボリジニの人々は完全に禁止にすることもできるはずです。完全に禁止にしないのは上記に挙げた、金銭的な理由もあると思いますが、登る人に「各自のウルルに対する考え方に基づいて、登らない選択をして欲しい。そして万一登る場合には、伝統を理解した上で、参加してほしい。」という気持ちもあるようです。
日本も含め、各国のガイドブックには、ウルルの登頂がひとつのハイライトとして紹介されています。確かに、それを目的として訪れる人は少なくないですし、貴重な経験となることは間違いないと思います。
しかし、単なる観光地としてとらえるだけでなく、先住民の精神そのものになっていることやその背景を知り、しっかりとマナーを守る必要があります。それを理解した上で見るウルルは、一段と重みが感じられました。(飯野)
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