1枚岩の芸術、エローラ石窟寺院(ユーラシア旅行社で行くインドツアー)
先日ユーラシア旅行社の「神秘の石窟寺院、アジャンタ・エローラ。魅惑の世界遺産紀行 7日間」のツアーから帰国致しました。
今回8月11日~17日までのツアーでした。ちょうどその時期は日本もインドも夏真っ盛り!特にインドに関しては、夏は暑すぎて観光に適さないという印象をお持ちの方が多いと思います。今回の訪問箇所でツアータイトルにもあるアジャンタ及びエローラの2つの石窟寺院は、おおよそ北緯20度(ハワイと大体同じ)と日本の沖縄県よりさらに南に位置しておりますが、デカン高原の中に位置しているせいか、日中の最高気温は大体30℃くらい、出発前の東京よりもむしろ過ごしやすかったのではないかと思います。また、朝晩に至っては20℃くらいまで下がり、ひんやりとした感じが心地良く、「ここって本当にインド?」と感じずにはいられませんでした。
さて、2つの石窟寺院のうちの1つ、エローラ石窟寺院は500年以上の歳月をかけて、約2kmの崖に作り上げられたインド石彫建築の最高傑作であります。そして驚くことにこれらはすべてノミと金槌だけで彫られたもので、現在も所々で修復作業が行われておりますが、昔ながらのやり方のノミと金槌だけが用いられています。
窟の数は全部で34もあり、仏教、ヒンドゥー教、ジャイナ教と3つの宗教の窟が混在しています。中でも一番の見どころは何と言ってもヒンドゥー教窟であるカイラーサ寺院(第16窟)です。「門」の中に入ると立派な「寺院建築物」があります。一目見て、これだけの石材を外から運んで来て、組み立てるのはさぞかし大変だったのだろうなと思いました。ところがこれらの門や寺院は組み立てたものではなく、もともと崖(玄武岩の一枚岩)だったところを、先述のノミと金槌だけを使い、上から下へと彫刻したものなのです!この寺院全体で高さ33m×幅47m×奥行き81mで、完成には150年かかっています。そして掘り出された岩の重さは20万トン!インドゾウの体重が4~5トンとすると、単純計算で4万~5万頭分の重さということになります。そして驚くのはスケールの大きさだけではありません。寺院の門、壁面、寺院の内部に彫刻は細かなところは非常に細かく彫られており、特にヒンドゥー教の神々は、顔の表情、手足などは非常に躍動感が溢れています。
今度はいったん外に出て、寺院の脇より丘に上がることができます。すると上から再びこのスケールの大きな寺院を見下ろすことができます。そしてここに立つと本当に1つの崖から岩を上から下に掘っていったことがわかります。その時私は、最初に彫り始めた石工さんに150年後に完成したこの素晴らしき寺院を見せてあげたかったと思わずにはいられませんでした。(斉藤信)
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